日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

5. 畜産物利用

畜産物利用

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第XI会場 (35番講義室)

座長:佐々木 啓介(農研機構畜産研究部門)、若松 純一(北海道大学)、今成 麻衣(農研機構九州沖縄農業研究センター)、上田 修司(神戸大学大学院農学研究科)、前田 尚之(酪農学園大学)

10:00 〜 10:10

[XI-20-07] 加熱調理方法が地鶏「長州黒かしわ」とブロイラーのもも肉の理化学特性に与える影響

*村田 翔平1 (1. 山口農林総技セ)

【目的】これまでの研究で、地鶏肉とブロイラーの肉のテクスチャーや成分等の理化学特性が比較されてきた。しかし、鶏肉の理化学特性は調理方法の影響を強く受ける。そのため検出される鶏種間差も、調理方法の影響を受ける可能性がある。そこで本研究では、調理方法が、地鶏とブロイラーのもも肉の理化学特性に与える影響を調べた。
【方法】購入した地鶏「長州黒かしわ」およびブロイラーのもも肉を試験に用いた。もも肉は、皮を剥いで25mm×15mm×30mmに切り出し、3種類の方法(焼き、茹で、揚げ)で加熱調理した。焼きは肉を網上に並べ遠赤外線ヒーターで、茹では肉を沸騰した湯に浸けて、揚げは肉に薄く衣(小麦粉:片栗粉=1:1)をまぶし180℃に熱した植物油で、それぞれ中心温度が78℃に到達するまで加熱した。加熱後の肉は、一般成分、剪断力価、加熱損失、遊離アミノ酸含量、イノシン酸含量、脂肪酸組成を分析した。
【結果】地鶏肉は調理方法に関係なくブロイラーの肉よりも剪断力価が高く、多くの種類の遊離アミノ酸含量が少なかった。一方で、加熱損失とオレイン酸割合、リノール酸割合は鶏種と調理方法の間に交互作用が認められ、鶏種の効果は調理方法により異なった。この結果から、地鶏肉とブロイラーの肉の理化学特性の鶏種間差は、調理方法に関係なく検出される特性と、調理方法に依存する特性の両方が存在することが分かった。