日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

5. 畜産物利用

畜産物利用

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第XI会場 (35番講義室)

座長:佐々木 啓介(農研機構畜産研究部門)、若松 純一(北海道大学)、今成 麻衣(農研機構九州沖縄農業研究センター)、上田 修司(神戸大学大学院農学研究科)、前田 尚之(酪農学園大学)

10:50 〜 11:00

[XI-20-12] 豚肉中の遊離グルタミン酸が呈するうま味の弁別閾の推定

*石田 翔太1、櫻井 宏樹2、赤田 花林1、小松 雅也3、渡邊 源哉1、篠田 咲紀4、本山 三知代1、中島 郁世1、宮口 右二4、脇屋 裕一郎5、浅野 敦之2、佐々木 啓介1 (1. 農研機構畜産部門、2. 筑波大生命環境、3. 農研機構北農研、4. 茨城大院農、5. 佐賀畜試)

【目的】グルタミン酸(Glu)は基本5味の1つであるうま味を呈し、食肉の味に寄与する。食肉は多様な呈味成分を含み複雑な味を呈するため、遊離Glu含量がどの程度異なればヒトが識別できるうま味の変化を生じるか不明である。そこで本研究では、豚肉エキスを用いたアディションテストにより、豚肉中の遊離Gluの弁別閾を推定した。【方法】ブタの胸最長筋のミンチから水溶性成分を加熱抽出した。抽出液の上清を凍結乾燥し、水溶性成分の乾固物を得た。乾固物をミンチと同量の超純水に溶解し、ミンチ1 gに含まれる水溶性成分を1 mLに含む豚肉エキスを調製した。その豚肉エキスを対照区とし、さらに対照区のGlu濃度に対して、1.1倍、1.2倍、1.4倍及び1.9倍濃度となるようにGluを添加したエキスをそれぞれ調製した。選抜、訓練を受けたパネリスト14名により、添加区と対照区のうま味の強さを2点法で比較させた。回答データからGluの濃度比と識別性の関係を解析し、うま味の弁別閾を推定した。【結果】Glu1.4倍添加以下の濃度ではうま味の差異が有意に識別されなかった(P>0.05)が、1.9倍添加では識別された(P<0.01)。また、プロビット回帰からうま味の弁別閾は1.59倍と推定された。従って、ヒトが豚肉のうま味の違いを認識するためには、遊離Glu含量に1.59倍以上の差が必要であると考えられた。