日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

5. 畜産物利用

畜産物利用

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第XI会場 (35番講義室)

座長:佐々木 啓介(農研機構畜産研究部門)、若松 純一(北海道大学)、今成 麻衣(農研機構九州沖縄農業研究センター)、上田 修司(神戸大学大学院農学研究科)、前田 尚之(酪農学園大学)

11:10 〜 11:20

[XI-20-14] 慢性スコポラミン投与モデルにおける塩麹浸漬ささみ肉のうつ病予防効果の検証

*川北 朗広1、林 利哉2、長澤 麻央2 (1. 名城大院農、2. 名城大農)

【目的】老化に伴う酸化ストレスの蓄積によって、うつ病の発症リスクが増加する。現在、市販されている治療薬では根治が難しいため、予防法の確立が急務である。本研究では、塩麹浸漬ささみ肉の抗うつ様効果を検証することを目的とした。【方法】ささみ肉を蒸留水と塩麹で3日間浸漬し、塩麹浸漬ささみ肉(CRM)を作製した。CRMの水溶性画分を回収し、CRM抽出液を調製した。本研究では、脳へ酸化ストレスを負荷するため、ICRマウス(7週齢、雄)にスコポラミンを7日間腹腔内投与した。また、CRMの抗うつ様効果を検証するため、スコポラミン投与の1時間前にCRM抽出液を経口投与した。投与開始から8日目にうつ様行動を評価するための強制水泳試験を実施し、24時間後に脳を採取してメタボローム解析を行った。【結果・考察】強制水泳試験において、うつ様行動の指標である不動時間がスコポラミン投与によって有意に増加し、うつ様行動が誘導された。一方で、CRM抽出液の投与によってスコポラミン誘導性のうつ様行動が有意に改善された。CRM抽出液の作用メカニズムを探索するために、脳内のメタボローム解析を実施したが、興味深い変化は認められなかった。本研究より、げっ歯類においてCRM抽出液の摂取によってスコポラミン誘導性のうつ様症状を予防できることが明らかとなり、食肉加工品の継続的な摂取がヒトの精神健康の維持に貢献できる可能性が示された。