15:00 〜 17:00
[AS2] ことばを“ことば”ならしめているものの発達
人間が発する声はそのすべてが“ことば”なのではない。そこには歓声やサウンドイフェクトなども含まれる。したがって、それを聞いて育つ子どもたちは、耳にする音声の中で、(その言語共同体で共有された)意味を探索すべき“ことば”と、そうでないものを区別し、ことばとして学ぶべき部分に適切な意味を対応づけなければならない。子どもたちは、何を手がかりとして、このようなことができるようになっていくのだろうか。また、誰がどのような感情をこめて話しても同じ単語が同じとわかるために、子どもたちは、“ことば”音声の中の核になる情報に注目し、声色や抑揚(ピッチ変化)などの情報はむしろ無視できるようにならなければならない。しかし、このようなピッチ変化の情報は、日本語では単語の識別に使われており、また我々おとなは最終的に、どのような単語が発せられたかということだけでなく、それがどのような抑揚で発せられたか、ということまで総合して発話を理解するようになっていく。この発達のプロセスがどのようなものであるかについて、本シンポジウムでは、特に日本語の特徴を念頭におきつつ考えてみたい。そのための材料として、3 人の話題提供者には、音声から意味を付与すべき“ことば”を切りだし学習していくときの文フレームの役割、そのようにして意味を担うようになった“ことば”におけるピッチアクセント情報の位置づけ、さらに、抑揚や文末表現などのいわば周辺的な情報が発話解釈において統合されていく発達の過程、などについてお話しいただく予定である。
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