The 71th Annual Meeting of JSFST

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Oral presentation

A 食品成分,食品分析 (Food Ingredients, Food Analysis)

[2Ap] Nutiritions: Protein, Carbohydrate, Lipid, Vitamin, and Mineral

Fri. Aug 30, 2024 3:00 PM - 6:00 PM Room A(S2) (3F N321)

Chair:Tatsuya Sugawara

4:45 PM - 5:00 PM

[2Ap-07] Quantitative analysis of highly polar sphingolipids in foods and their digestive properties

Haruka Ogasawara1, Ishikawa Toshiki2, Manabe Yuki1, *Sugawara Tatsuya1 (1. Kyoto University Graduate School of Agriculture, 2. Saitama University Graduate School of Science and Engineering)

Keywords:Sphingolipid, GIPC, HPLC

【目的】スフィンゴミエリン(SM)やグルコシルセラミド(GlcCer)などのスフィンゴ脂質は,様々な食品素材に普遍的に含まれており,生体膜構成成分としてだけでなく,食品機能性成分としても注目されている.一方で,高等植物には,複雑な糖鎖を有することで極性の高いホスホイノシトール含有スフィンゴ脂質(GIPC)が相当量含まれていることも知られているが, 食品成分としての情報はほとんどない.そこで本研究では, 食品に含まれる高極性スフィンゴ脂質を定量解析し,加えて,高極性スフィンゴ脂質の1つであるGIPCの消化特性を解明することを目的とした.

【方法】食品中スフィンゴ脂質含有量の算出にあたり,様々な農畜水産物を試料として,凍結乾燥した試料を,そのまま,あるいはFolch法によって上層(中間層を含む)と下層に分画した.これら3つの画分についてそれぞれ酸加水分解処理を行い,生じたスフィンゴイド塩基を定量することで,スフィンゴ脂質含有量を算出した.GIPCの消化特性を調べるために,レタスから精製したGIPCをラット小腸アセトンパウダーと37 ℃で反応させ,分解物であるスフィンゴイド塩基とセラミドの生成量を測定した.

【結果】農産物の場合,Folch下層のみならず,上層からも相当量のスフィンゴイド塩基が検出され,GIPC由来と推定された.一方で畜水産物の場合,ガングリオシドなどに由来すると考えられるFolch上層に含まれるスフィンゴイド塩基量は,下層に比べて極めて少量であった.得られた定量値をもとに1人1日あたりのスフィンゴ脂質摂取量を推定したところ,SMやGlcCerなどの低極性スフィンゴ脂質90 mg程度に加えて,GIPCなどの高極性スフィンゴ脂質100 mg程度を摂取していることが示された.また,GIPCとラット小腸アセトンパウダーを反応させた結果,GIPC分解物の生成が確認された.