日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

A 食品成分,食品分析(Food Ingredients, Food Analysis)

[2Bp] フレーバー物質,色素

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 B(S3)会場 (3F N322)

座長:伊藤 彰敏(あいち産業科学技術総合センター)、笹木 哲也(石川県工業試験場)、熊沢 賢二(小川香料)

17:00 〜 17:15

[2Bp-08] 微量チオール香気成分検出手法のコーヒー豆およびドリップコーヒーへの適用

*平木 絵里1、瓦谷 明宏1、矢口 善博1 (1. 高砂香料工業株式会社 研究開発本部 )

キーワード:フレーバー、コーヒー、チオール、LC-MS/MS、4,4'-dithiodipyridine誘導体化

【目的】
スルファニル(チオール)基を有する揮発性化合物は幅広い食品に含まれている.それらはごく微量で香りを知覚できるものが多く食品の香りや風味に強く影響しているが,その含有量や化学的安定性の低さが機器分析による検出を困難にさせている.4,4’-dithiodipyridine (4-PDS) はチオール基の誘導体化試薬の一つであり,誘導体化された化合物は機器分析における検出感度と化学的安定性が向上すると知られている.そこで本研究は4-PDS誘導体化法を用いてコーヒー豆中のチオール香気成分の探索を行い,見出されたチオール香気成分について保管温度の異なるドリップコーヒー中の経時的な変化量を明らかにすることを目的とした.
【方法】
コーヒー豆を水-アセトニトリル混液により抽出した.抽出液を4-PDS誘導体化後,LC-qTOFMS測定を行い含有するチオール香気成分を探索した.続いて同じ豆からドリップコーヒーを調製し常温または80℃で保管した.それぞれ調製後 0,30,60,120,180分の時点でドリップコーヒーを分注してアセトニトリル抽出後誘導体化を行った.上記のLC-qTOFMS測定により見出されたチオール香気成分の標準品の誘導体化物を用い,LC-MS/MS測定により標準添加法による定量分析を行った.
【結果】
コーヒー豆を用いたチオール香気成分の探索により,Furfuryl mercaptan (FM),3-mercapto-3-methyl-1-butanol (MMB)などのチオール香気成分が検出された.検出されたチオール香気成分の標品を誘導体化しLC-MS/MSにより測定したところ, ppt~ppbレベルの低濃度域から検出可能であった.また、ドリップコーヒー中において調製直後から経時的に減少し,その減少の程度は常温保管よりも80℃で保管した条件の方が大きかった.