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[2Ep-07] セサミノールはNrf2-AREシグナル伝達経路を活性化することによってパーキンソン病予防効果を有する
キーワード:セサミノール、パーキンソン病、Nrf2-AREシグナル伝達経路
【目的】パーキンソン病(PD)は,中脳黒質のドーパミン作動性神経細胞の変性・脱落によって発症する神経変性疾患である.セサミノールはゴマに含まれるゴマリグナンであり,強力な抗酸化作用を有する.本研究では,セサミノールによるPDの予防効果とその作用メカニズムについてin vitroおよびin vivo PDモデルを用いて検討した.【方法】ヒト神経芽細胞腫 (SH-SY5Y) に,6-hydroxydopamine (6-OHDA) を添加してin vitro PDモデルを作製した.セサミノールは6-OHDA添加2時間前に添加した.C57BL6/Jマウスに神経毒であるロテノンを29日間経口投与してin vivo PDモデルを作製した.セサミノール食はロテノン投与1週間前より摂食させた.【結果】6-OHDAによって有意に低下したSH-SY5Yの細胞生存率は,セサミノールを添加するとコントロールレベルまで回復した.細胞内活性酸素種産生量は6-OHDAによって亢進したが,セサミノールによって顕著に抑制された.核内Nrf2発現はコントロールでは観察されなかったが,セサミノールを添加すると,Nrf2の核内移行が観察された.抗酸化酵素の1つである NQO1活性は,セサミノールの添加によって有意に亢進した.マウスの運動機能は,ロテノン投与によって有意に低下したが,セサミノールを摂食させるとコントロールレベルにまで回復した.さらに,腸運動機能も同様な挙動を示した.黒質におけるα-シヌクレインの発現は,ロテノン群では増加したが,セサミノール食群では減少した。また,ロテノン群は結腸粘膜の短縮と損傷が観察されたが,これらの結腸粘膜の異常はセサミノール食群ではほとんど観察されなかった.【考察】セサミノールはNrf2-ARE シグナル伝達経路を活性化することによってPD予防効果を有することが示唆された.