日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

C 農畜水産物とその加工品 (Agricultural product, Livestock product, Seafood, and their processed products)

[2Gp] 穀物

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 G会場 (3F N305)

座長:梶野 涼子(十文字学園女子大学)、大能 俊久(福井工業大学)、青木 法明(農業・食品産業技術総合研究機構)

15:15 〜 15:30

[2Gp-02] 硫酸デシルナトリウムなどの溶液で加熱した米の特徴

*大能 俊久1、児玉 一馬1、上村 拓弥2 (1. 福井工業大学、2. 福井工業大・院)

キーワード:米、タンパク質

【目的】米の食味は米飯の物性が重要な役割を果たしており,一般的に日本人は軟らかくて粘りのある米飯を好む.米飯の物性に関与する成分としてタンパク質が挙げられ,タンパク質が多いと硬くて粘りの少ない米飯となる傾向があるとされる.タンパク質と米の性質との関係をより詳しく知るために,可溶化するタンパク質量が異なる溶液を準備し,それらの溶液での加熱が米にどのような影響を与えるかについて調べた.
【実験方法】40℃で1か月貯蔵したコシヒカリを試料とした.米に約2倍量のミリQ水,または10 mMの溶液(硫酸デシルナトリウム,ドデシル硫酸リチウム,ドデシル硫酸ナトリウム,ラウリン酸ナトリウムなどを含む8種)を加えて1時間浸漬した.その後,75℃で5分ゆっくり振とうしながら加熱し,直後に水冷した.そして米粒を軽く撹拌した後に米粒を除き,105℃で加熱乾燥し,重量を測定して加熱時脱離固形分量とした.また,米5 gに上記溶液7.5 mlを加えて1時間浸漬した後,電気炊飯器で炊飯した米飯のバランス度(米飯の粘りを硬さで割った値)をテンシプレッサー(タケトモ電機,TTP-50BX2型)で測定した.各種溶液に可溶化するタンパク質量はローリー法で測定した.
【結果】ドデシル硫酸ナトリウムやドデシル硫酸リチウムなどで可溶化するタンパク質量が多くなった.加熱時脱離固形分量はラウリン酸ナトリウムなどで多くなり,米飯のバランス度もラウリン酸ナトリウムで高くなった.また,可溶化するタンパク質量,加熱時脱離固形分量,米飯のバランス度,それぞれについて相関を調べたところ,可溶化するタンパク質量と加熱時脱離固形分量との間に有意な正の相関(p<0.05)が認められた.