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[2Gp-09] アルカリ剤の違いが麺の品質に及ぼす影響
キーワード:中華麺、物性、アルカリ剤、貝殻焼成カルシウム
【目的】中華麺は,小麦粉に強アルカリ性の粉末かん水を0.8~1.2%程度添加し製造されている.かん水の添加により,麺が黄色く硬くなり,中華麺特有のこしと風味が生成する.アルカリ性を示す食品添加物には,かん水の他,貝殻や魚骨を焼成して製造した焼成カルシウムがあり,とくに貝殻由来の焼成カルシウムは強アルカリ性を示し,こんにゃく凝固剤や魚肉練り製品の結着剤等の目的で利用されている.本研究では新しい麺の開発を目指し,かん水の代わりに他のアルカリ剤を使用することで,麺の品質がどのように変化するか比較評価した.【方法】麺は,準強力粉にアルカリ剤,水,アルコール,プロピレングリコールを添加しミキシング後,切刃(24番)で切り出して調製した.アルカリ剤は準強力粉に対し,貝殻焼成カルシウム(貝Ca)及びかん水は0.1~2.4%,魚骨焼成カルシウム(魚骨Ca)は0.1~10.0%添加した.各ゆで麺について,色,pH,破断特性を測定した.また,ゆで麺の組織を低真空走査電子顕微鏡により観察した.さらに,ゆで麺ののびやすさを測定するため,湯の中で麺を放置し経時的に麺の硬さを測定した.【結果】ゆで麺の色調は,貝Ca添加麺の場合,貝Ca0.6%まではかん水添加麺よりも黄色味が強かったが,1.2%以上の添加では黄色味の少ない明るい色調を呈した.魚骨Ca添加麺(0.3%以上)は,かん水添加麺及び貝Ca添加麺に比べ白っぽい明るい色調であった.ゆで麺の硬さを歪率80%の応力で比較すると,貝Ca0.3%添加麺(pH 10.2)が最も高くかん水1.2%添加麺(pH 10.2)の約2倍,次いで貝Ca0.1%添加麺(pH 7.2)及び0.6%添加麺(pH 10.4)が同程度の応力でかん水1.2%添加麺の約1.5倍であった.魚骨Ca添加麺では,どの条件においてもかん水添加麺と同等または低い傾向にあった.