日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

C 農畜水産物とその加工品 (Agricultural product, Livestock product, Seafood, and their processed products)

[2Hp] 野菜、果実

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 H会場 (3F N303)

座長:大坂 隆志(広島県立総合技術研究所)、菅原 哲也(山形県工業技術センター)、重村 泰毅(東京家政大学)

15:30 〜 15:45

[2Hp-03] 貯蔵中のカボチャの消費者型官能評価

*竹内 薫1、梶田 路津子1、松岡 祐樹2、阿部 純也2 (1. 道総研 中央農業試験場、2. 道総研 花・野菜技術センター)

キーワード:かぼちゃ、消費者型官能評価、Check-All-That-Apply

【目的】カボチャの需要は通年で底堅く,特に年末にかけて高まるが,貯蔵期間が長くなるに従い腐敗が発生し歩留まりが低下するため,北海道産品の供給は12月以降減少し1月以降の供給は難しい.そのため生産現場から貯蔵性の高い品種や貯蔵期間延長技術が求められている.カボチャは貯蔵中に腐敗するだけでなく,風味や食感の変化により嗜好性が低下するため,貯蔵性の検討に当たり嗜好性の評価が必要である.本研究では,カボチャの消費者型官能評価手法を構築するとともに,貯蔵したカボチャの官能評価により嗜好性と官能特性の変化,および両者の関係性を明らかにした.

【方法】貯蔵したカボチャに感じられる官能特性を列挙し,テクスチャーと風味の評価用語を選定した.試料調製方法を検討するため果実を果梗部,赤道部,花痕部に分け,テクスチャーアナライザーにより果肉のかたさを比較した.官能評価には2023年に花・野菜技術センター(北海道滝川市)で生産した「えびす」「グラッセ」および系統Xを供試した.果実は10℃・60%RHで貯蔵し,貯蔵開始から1,4,5か月後に蒸煮して評価した.嗜好性評価は9段階評定法,特性評価はCATA法で行った.

【結果】貯蔵したカボチャの評価用語としてテクスチャー8語,風味7語を選定した.果肉の最大荷重は果梗部で小さく,花痕部で大きく,赤道部は中庸であったが,部位によらず品種間差が認められたため官能評価には赤道部を用いた.貯蔵したカボチャの官能評価の結果,貯蔵期間の経過に伴い“甘味”“旨味”等の選択比率は低下,“不快な風味”“青くさい”の選択比率は高まった.嗜好性評点と“甘味”“旨味”“ねっとり”等の選択比率との間には正の相関,“不快な風味”“青くさい”“水っぽい”等の選択比率との間には負の相関が認められた.長期貯蔵でも“甘味”が感じられる場合は嗜好性が低下しにくいことが明らかとなった.