[2Hp] Vegetable, Fruit

[2Hp-10] Component characteristics of grape (Vitis spp.) fruit and development of technology to increase GABA through heat treatment

*Sugawara Tetuya¹, Wakayama Masataka^2,3 (1. Yamagata research institute of technology, 2. Institute for advanced Bioscience Keio university, 3. Ehime university)

Keywords:grape, metabolomics, GABA

【目的】
　山形県で栽培される, 主要なブドウ栽培品種の代謝物を網羅的に解析し, 加熱処理による成分変動を解析するとともに, GABAを増加させる果実加工技術を検討したので報告する.
【方法】
　分析に用いたブドウ果実は, 山形県園芸技術研究所圃場内で収穫されたデラウエア, シャインマスカット, ピオーネおよび高尾を果肉, 果皮に分け, 分析試料とした. 高尾果実を気体遮断袋に入れ, 45℃～85℃の各温度で20分間加熱処理を行い, ブドウ果実加熱試料とした. さらに, 高尾果実について, 各温度（45～70℃）に設定した電気式送風乾燥機を使用し, 48時間送風乾燥によりブドウ乾燥試料を調製した. 代謝物の解析は, 試料のメタノール抽出液をキャピラリ電気泳動質量分析および高速液体クロマトグラフ質量分析計により分析した.
【結果】
　ブドウ果実の代謝物解析の結果, いずれの栽培品種も, 果皮において代謝物濃度が高い傾向が認められた. 高尾果実加熱試料の代謝物を解析したところ, 加熱により多くの代謝物変動が認められ, 特にGABAに関して, 加熱温度に比例して濃度が顕著に増加した. GABAの増加に伴い, Gluが減少しており, 加熱処理によるGABAの増加には, Glutamate decarboxylase活性の関与が示唆された. 高尾果実を加熱処理後, 粉砕・搾汁することでGABAを富化した果汁の調製が可能であった. ブドウ果実乾燥試料において, 新鮮重量あたりのGABA濃度は乾燥温度65℃試料において最も高値を示したが, 乾物重量あたりでは, 乾燥温度45℃および55℃試料において非加熱試料よりもGABA濃度は高値を示した. 高尾果実を55℃で送風乾燥することにより, 外観, 風味良好にGABAを冨化したセミドライフルーツの製造が可能であった.