日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

C 農畜水産物とその加工品 (Agricultural product, Livestock product, Seafood, and their processed products)

[2Hp] 野菜、果実

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 H会場 (3F N303)

座長:大坂 隆志(広島県立総合技術研究所)、菅原 哲也(山形県工業技術センター)、重村 泰毅(東京家政大学)

17:30 〜 17:45

[2Hp-11] 液体浸潤条件の違いが糖漬け後のレモンの品質に及ぼす影響

*大坂 隆志1、重田 有仁1、中津 沙弥香1 (1. 広島県立総合技術研究所食品工業技術センター)

キーワード:レモン、液体浸潤、糖漬けレモン

【目的】広島県はレモンの生産量が多く,レモン加工品が多く製造されているが,果皮付きレモンを用いる場合,食感,苦味,香気の改善が課題となる.これまでの研究で,果皮への浸潤処理(減圧による液体導入)により,食感を改善し苦味を低減する結果が得られている(特許第7137878 号).本研究では,浸潤処理に用いる水溶液(浸潤液)の糖濃度とレモンへの添加割合の違いが,糖漬け後のレモンの糖度,香気成分に及ぼす影響について報告する.
【方法】2023年産の国産レモンを試料に用いた.4 mm厚のスライスレモンと糖濃度が異なる浸潤液(0%,30%,50%)を軟質フィルムに入れ,真空包装して液体浸潤試料を得た.レモンと浸潤液の重量比は,1:1,2:1,3:1,4:1とした.真空包装後,-20℃で一晩静置し,糖濃度40%の糖液に浸漬した.浸漬後に加熱処理し,果皮糖度を分析した.果皮の香気分析は,GC/MS(8890/5977:Agilent,Column:DB-Wax60m×250μm×0.25μm I.D.)で分離し,NIST20Lライブラリにより解析した.
【結果】糖漬け後の果皮糖度は,浸潤液の糖濃度が高くなるに従い高くなった.糖濃度50%の浸潤液では,浸潤液の添加割合が高くなるに従い果皮糖度が高くなった.香気成分のシメンの内標面積比は,糖濃度30%の浸潤液の場合,レモンと浸潤液の重量比4:1区は,1:1区の約1.5倍であり,浸潤液の糖濃度50%では約1.3倍だった。浸潤液の糖濃度とレモンへの添加割合により,糖漬け後のレモンの果皮の糖度と香りを制御できる可能性が示された.