日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[2Kp] 加工、製造技術

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 K会場 (2F N206)

座長:山田 盛二(サンタ ベーキング ラボラトリー)、西岡 昭博(山形大学)、高村 仁知(奈良女子大学)

17:45 〜 18:00

[2Kp-12] 亜臨界水で炊飯した米飯の物性と老化耐性の評価

*奥野(江口) 由1、松宮 健太郎1、庄司 愛望2、新田 浩朗3、依田 香子3、谷 史人1、西村 公雄2、松村 康生4 (1. 京大・院・農、2. 同志社女子大、3. パナソニック(株)、4. 京大・生存圏)

キーワード:亜臨界水、米飯、老化、物性

【目的】米飯の物性は炊飯条件によって決まる重要な特性であり,産業的には老化耐性への関心も高い.水を加温・加圧して得られる亜臨界水は,常温常圧下の水に対してイオン積が大きく,比誘電率が低いため,炊飯米に与える影響も大きいと考えられる. そこで本研究では米を亜臨界水で炊飯した際の物性および老化耐性について,通常炊飯と比較しつつ評価することを目的とした.
【方法】米は栃木県産コシヒカリを使用した.亜臨界条件での炊飯は,米66 gに対し加水を行い,L16直交表実験に基づき,加水量(1.0倍, 1.2倍),温度(120℃, 130℃),圧力(0.3 MPa, 1.0 MPa),温度維持時間(2分間,8分間)を各々の条件で組み合わせて行った.通常炊飯はPanasonic社のミニクッカー(SR-MC03-S)を使用し,加水量1.4倍,温度130℃,圧力0.0 atm, 温度維持時間19分間で行った.物性は山電社製クリープメーターで米1粒を2回圧縮(圧縮率50%)して測定し,硬さ,付着性,粘り,バランス度(粘り/硬さ)を求めた.冷蔵保管は10℃で48時間行った.
【結果】亜臨界水で炊飯した米飯の硬さには加水量,温度,温度維持時間が影響していた.16条件の炊飯米の硬さは1.95~4.38 Nであり,条件の組み合わせによって硬さの調節が可能となることが示された.バランス度は,通常炊飯と比較して低くなるものも高くなるものもあった.加水量1.2倍,温度120℃,圧力1 MPa,温度維持時間2分間の条件では通常と同等のバランス度であったことから,短時間で通常と同様の炊飯が可能であることが示された.冷蔵保管後のそれは通常炊飯同様に低下し,炊飯直後の物性は維持されていなかったが,水分量の調整により改良する余地はあった.今後は官能評価を通して,亜臨界水で炊飯した米のおいしさを多角的に評価する予定である.