日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[2Mp] 食品物性

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 M会場 (2F N203)

座長:藤本 和士(関西大学)、粉川 美踏(筑波大学)、小泉 晴比古(広島大学)

17:45 〜 18:00

[2Mp-11] 等温熱測定によるMRS培地中のS. Thermophilusの活性へのリンゴ酸添加の影響の評価

*吉岡 七海1、松尾 蒼生1、大場 正春2、前林 正弘1 (1. 名城大農、2. 名城大)

キーワード:ヨーグルト、乳酸菌、熱分析、代謝、クエン酸回路

【目的】果実や糖を添加したフルーツヨーグルトには様々な種類があり、その多くは果実由来のリンゴ酸やクエン酸などの有機酸を含む。乳酸菌の活性評価では、酸生成量やpHを指標にする方法が多く用いられているが、一定圧力下での熱量測定では非侵襲的に乳酸菌による試料のエンタルピー変化を得ることができる。そこで、本研究では、乳酸菌の活性の指標として熱量とpHを測定し、MRS液体培地でのS. Thermophilusの活性へのリンゴ酸の影響について調査を行った。
【方法】使用した培地は、MRSブイヨンであり、純水を溶媒として62 g/Lの濃度に調製した。リンゴ酸添加の場合、DL-リンゴ酸二ナトリウムを、その濃度が15.8 mmol/Lになるように液体培地に加えた。本研究で使用した熱量計はアンプルシール機構を有する多目的等温熱量計MMC-5111(東京理工株式会社製)である。熱量測定には、液体培地20 mLとガラスアンプルに溶封した菌懸濁液0.7 mLを用い、41℃で4時間ベースラインを測定してからアンプルを破壊した。また、同条件でpH測定と菌数測定を行った。
【結果】リンゴ酸を添加した試料では、リンゴ酸未添加のものに比べて、発酵開始から約5.5 hまで菌一個体あたりの熱出力が大きく、pHもその間低かった。それ以降では、熱出力とpHそれぞれの大小関係が逆になった。ここで、pHから乳酸濃度を求め、その乳酸はグルコースから生成したとして、その反応エンタルピーを求めた。リンゴ酸添加時のpH由来の反応エンタルピーは、発酵時間全体で、熱測定で得た反応エンタルピーよりも小さかったが、変化の傾向はほぼ同じであった。リンゴ酸未添加でのpH由来の反応エンタルピーは、発酵開始から約6 hまで、熱測定で得られた反応エンタルピーとほぼ同じで、それ以降では熱測定の結果よりも小さくなった。