[3Aa] フレーバー物質，色素

[3Aa-01] 赤紫サツマイモ系統のアントシアニン色素特性

*倉田 理恵¹、境垣内 岳雄¹、田中 勝¹、小林 晃¹、末松 恵祐¹、川田 ゆかり¹ (1. 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター)

キーワード：アントシアニン、ペラルゴニジン、サツマイモ

【目的】紫サツマイモは紫色素のアントシアニンを豊富に含んでおり，その主要なアグリコンはシアニジンとペオニジンであることが知られている．しかし，以前よりペラルゴニジンを含む系統が報告されており，近年はペラルゴニジンを主体として含む，赤みの強い紫サツマイモ品種・系統が作出されている．今回はそれら系統に含まれるアントシアニンの組成を詳細に調査した．【方法】農研機構九沖研（都城）で栽培された品種‘アヤムラサキ’と系統A，B，Cを供した．アントシアニンは5mm角のスティック状に細切りした塊根5gに対し，0.5％硫酸95mlを加え，暗黒下室温で一晩静置し抽出した．アグリコンの割合を調査するため，酸分解を行った．アントシアニン含量は沖ら（2017）の方法に従いHPLC分析を行い，標準物質にYGM-6を用い全量をYGM-6相当量として算出した．さらに同じ条件で LC-MS分析を行った．【結果】アグリコンについて，赤紫の色調を示すペラルゴニジンを‘アヤムラサキ’は含まなかったのに対して，系統A，B，Cは80.7，92.6，63.7％含んでいた． 色素含量は‘アヤムラサキ’が3.8gだったのに対して，系統A，B，Cはそれぞれ0.9，4.8，3.9g YGM-6相当量/ kg FWであり，系統B，Cについては十分なペラルゴニジン量を含んでいた．またHPLCチャートより‘アヤムラサキ’に見られない10本のピークを検出し，既に明らかにされている6本に加えて，MS分析の結果から新たに4本のピークが推定された．それらはペラルゴニジン-3-ソフォロシド-5-グルコシドを基本骨格とし，-3-ソフォロシドに有機酸を配するアントシアニンであることが明らかとなった．本研究の一部はJSPS科研費（22H02327）およびBRAIN「食料安全保障強化に向けた革新的新品種開発プロジェクト」の助成を受けたものです．