11:00 〜 11:15
[3Aa-08] Girard's-T試薬誘導体化法による生体試料中のラクトン類の定量とイメージング質量分析
キーワード:イメージング質量分析、誘導体化、ラクトン
【目的】
誘導体化法は質量分析において、熱安定性、イオン化効率向上等のため用いられている。誘導体化試薬 Girard's Reagent T (Gir-T)は、標的分子を誘導体化するとカチオン性を示すため、質量分析ではイオン化が困難な標的分子も容易に検出することができる。また沸点が上昇するため、フレーバーなどの揮発性分子を安定化できる。今回、和牛特有の甘い香り成分であるラクトン類を可視化するために、和牛ロース切片のGir-T試薬誘導体化イメージング質量分析(IMS)を行った。
【方法】
ラクトン類(γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン)の標準品を誘導体化試薬(Gir-T)で誘導体化し、非誘導体化ラクトン類とともに 2,5-ジヒドロキシ安息香酸(DHB)を使用してMALDI測定を行った。またイメージング質量分析の実験として、黒毛和種のリブロースを用いた。凍結切片を作成後、Gir-T溶液を噴霧し、DHBをスプレーした。IMSを行いラクトン類とオレイン酸の局在解析を行った。
【結果】
誘導体化ラクトンは、時間経過後も減少せず60分後も検出された。また、 誘導体化後の検出効率は非誘導体化よりも高かった。これは、誘導体化によりイオン化が向上し、揮発性のラクトンの沸点が上昇したことを示している。同様に、IMSでも誘導体化ラクトンを安定的に検出することができた。ラクトン類はすべて筋肉内脂肪部に多く局在していたが、一方で、遊離オレイン酸は筋肉部に多く局在していた。この結果から、筋肉内脂肪部にTAGとして貯蔵されているオレイン酸は、切片上の筋肉内脂肪領域で検出されたラクトンに変換されており、遊離オレイン酸としては少ないことが示唆された。 一方、筋肉中には常に生体維持のために遊離オレイン酸は存在しているため、 IMS結果と一致した。
誘導体化法は質量分析において、熱安定性、イオン化効率向上等のため用いられている。誘導体化試薬 Girard's Reagent T (Gir-T)は、標的分子を誘導体化するとカチオン性を示すため、質量分析ではイオン化が困難な標的分子も容易に検出することができる。また沸点が上昇するため、フレーバーなどの揮発性分子を安定化できる。今回、和牛特有の甘い香り成分であるラクトン類を可視化するために、和牛ロース切片のGir-T試薬誘導体化イメージング質量分析(IMS)を行った。
【方法】
ラクトン類(γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン)の標準品を誘導体化試薬(Gir-T)で誘導体化し、非誘導体化ラクトン類とともに 2,5-ジヒドロキシ安息香酸(DHB)を使用してMALDI測定を行った。またイメージング質量分析の実験として、黒毛和種のリブロースを用いた。凍結切片を作成後、Gir-T溶液を噴霧し、DHBをスプレーした。IMSを行いラクトン類とオレイン酸の局在解析を行った。
【結果】
誘導体化ラクトンは、時間経過後も減少せず60分後も検出された。また、 誘導体化後の検出効率は非誘導体化よりも高かった。これは、誘導体化によりイオン化が向上し、揮発性のラクトンの沸点が上昇したことを示している。同様に、IMSでも誘導体化ラクトンを安定的に検出することができた。ラクトン類はすべて筋肉内脂肪部に多く局在していたが、一方で、遊離オレイン酸は筋肉部に多く局在していた。この結果から、筋肉内脂肪部にTAGとして貯蔵されているオレイン酸は、切片上の筋肉内脂肪領域で検出されたラクトンに変換されており、遊離オレイン酸としては少ないことが示唆された。 一方、筋肉中には常に生体維持のために遊離オレイン酸は存在しているため、 IMS結果と一致した。