The 71th Annual Meeting of JSFST

Presentation information

Oral presentation

A 食品成分,食品分析 (Food Ingredients, Food Analysis)

[3Ap] Flavor compound, Pigment

Sat. Aug 31, 2024 2:15 PM - 4:45 PM Room A(S2) (3F N321)

Chair:Yuko Shimamura

3:00 PM - 3:15 PM

[3Ap-04] Effect of insect damage and harvest time on the qualities of Japanese black tea

*Mao Shimomura1, Emiko Yanase2, Nakako Katuno2 (1. Gifu University・Graduate School of Natural Science and Technology, 2. Gifu University・Faculty of Applied Biological Sciences)

Keywords:black tea, aroma compounds , feeding damage, leaf color

【目的】緑茶用茶葉は虫害によりフローラル,スイートな香気を有する萎凋香が増加する.これにより緑茶としての価値が低下するため,廃棄されることも多い.一方,この萎凋香は紅茶に重要であり,近年需要の高まる和紅茶へ虫害葉を有効利用することが期待される.しかし,虫害が最終製品の品質に及ぼす影響は検討されていない.そこで本研究では,害虫防除の有無と収穫期が,和紅茶の最終品質に与える影響を明らかにすることを目的とした.
【方法】岐阜県池田町茶業振興センター茶園において,農薬散布有りの防除区と散布無しの無防除区を設定した.摘採は二番茶(6月),三番茶(8月),秋冬番茶(10月)に行った.生葉は摘採後,萎凋,揉捻,発酵,乾燥工程を経て紅茶とした.各紅茶をバイアル瓶に入れ,SPME法にて香気を捕集し,GC-FID,GC-MS分析に供した.紅茶粉末の色を色差計で測定した.
【結果】どの試験も同じ香気成分が同定されたが,組成が異なっていた.全試料を比較すると,総香気成分量は二番茶が最も多く,花様香気の割合は二番茶の無防除区で最も高くなった.二番茶では防除区で青臭い香気である2-Hexenalが多く,無防除区ではフローラル,スイートな香気を有するLinalool oxide,Geraniolが多かった.各香気成分量を変数とした主成分分析を行ったところ,各サンプルは防除の有無でなく,収穫期ごとにグルーピングされた.PC1の値が大きいほど香気成分量が多く,PC2は香気の質で値が異なった.紅茶粉末の色は収穫期および両試験区で異なり,特にL*およびa*は秋冬番茶で大きく,明るい赤色の茶葉となっていた.花様香気の割合が高く,総香気量が多い二番茶の無防除区が和紅茶の品質に最も適していると考えられたが,茶葉の色に関してはさらなる改善が必要である.