日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

A 食品成分,食品分析(Food Ingredients, Food Analysis)

[3Bp] その他の成分、感性評価、官能評価

2024年8月31日(土) 14:15 〜 16:45 B(S3)会場 (3F N322)

座長:清水 宗茂(東海大学)、豊泉 友康(静岡県農林技術研究所)、斉藤 史恵(山梨大学)

16:00 〜 16:15

[3Bp-07] 静岡県内の6茶工場から回収した製茶副産物のアミノ酸類・カテキン類・アスコルビン酸・抗酸化能の特性評価

*豊泉 友康1、藤井 拓1,2、三宅 健司1、九島 祥弘3、小林 利彰1、大場 聖司1,4、小林 栄人1 (1. 静岡農林技研 茶研センター、2. 静岡県庁 お茶振興、3. ChaOIフォーラム事務局、4. 静岡農林技研)

キーワード:製茶副産物、アミノ酸類、カテキン類、アスコルビン酸、抗酸化能

【目的】
 製茶時の副産物である茶渋は,葉打機・粗揉機に付着する茶葉由来の固形物で,静岡県内の10 ha以上の茶園をもつ工場から1日約100~500 kg発生すると推定される.一方,この茶渋の多くは,廃棄され未利用であるため,茶生産者から有効活用が望まれている.
 本研究は,茶渋の食品素材としての有用性解明を目指し,静岡県内の6茶工場から回収した茶渋を用いて,茶の呈味に関わるアミノ酸類の含量,多彩な健康増進効果を有すカテキン類・没食子酸・アスコルビン酸の含量と抗酸化能の特性を評価した.
【方法】
 評価では,2023年の5月に静岡県内の茶工場から回収した8種類の茶渋(一番茶)を供した.また,これらの内,4種が普通煎茶の製造由来,3種がペットボトルドリンク用の原料茶の製造由来,1種がかぶせ茶製造由来の茶渋である.
 茶渋は,凍結乾燥させた後,ミキサーで粉砕処理し,分析試料とした.各試料中の7種のアミノ酸類・8種のカテキン類の含量は,HPLC法で評価した.また,アスコルビン酸は比色法,抗酸化能は2,2-diphenyl-1-picrylhydrazyl(DPPH)法・親水性酸素ラジカル吸収能(H-ORAC)法で評価した.
【結果】
 普通煎茶・かぶせ茶由来の茶渋のテアニン・アルギニン等のアミノ酸類の含量は,上級煎茶の文献値と同等以上であった.また,全ての茶渋の遊離型カテキン類・没食子酸・アスコルビン酸の含量は,文献値より多かった.特に,没食子酸は,普通煎茶・かぶせ茶由来のものが約5~7倍多かった.一方,全ての茶渋の4種のエステル型カテキンの含量は,文献値より少なかった.
 茶渋のH-ORAC値は,茶工場によっては煎茶の文献値と同等であった.また,H-ORAC値は総カテキンや4種の遊離型カテキンの含量との間に有意な正の相関が認められた.一方,茶渋のDPPH値は,かぶせ茶由来を除き,文献値と同等以上であった.