2:15 PM - 2:30 PM
[3Cp-01] Quality evaluation of oils using fluorescence fingerprint
Keywords:fluorescence fingerprint, oils, quality evaluation
【目的】油脂の品質評価は,操作が煩雑な複数の分析法によって総合的に行われるため,多くの時間と労力を必要とする.また,分析では多量の有機溶媒を使用するため,環境への影響や分析者への慢性的な健康被害も懸念される. そこで本研究では,多量の有機溶媒を使用することなく,複数の蛍光物質を含む試料の蛍光スペクトルを網羅的に,かつ簡便に測定できる蛍光指紋法を用いた油脂の品質評価法について検討を行った.
【方法】油脂のモデル試料として,食品業界で汎用的に使用される「なたね油」を使用し,①20℃~60℃の範囲で暗所にて8週間の保存試験,②20℃で,LED,蛍光灯照射下(約1000 lx),又は暗所にて8週間の保存試験,③180℃,40時間の加熱試験を行った.試験①~③において経時的に採取した試料の劣化指標値(酸価,過酸化物価,カルボニル価,極性化合物)の分析と蛍光指紋の測定を行った.得られた蛍光指紋から,部分的最小二乗法(PLS)による各劣化指標値の推定を行った.
【結果】未処理のなたね油の蛍光指紋では,領域1(Ex 300 nm/Em 330 nm 付近)及び 領域2(Ex 300~400 nm/Em 350~550 nm 付近)の2つの領域に蛍光ピークが確認された.保存試験試料(①,②)では,保存期間が長くなるにつれ,これらの領域の蛍光強度が減少した.一方,加熱試験試料(③)では加熱時間が長くなるにつれ,領域1の蛍光強度が減少し,領域2は蛍光強度が減少する領域と増加する領域が確認された.これらのことから,(1)蛍光指紋が油脂の劣化を反映しており,(2)蛍光指紋のパターン変化の違いが油脂の劣化のメカニズムの違いを反映することが示唆された.また,PLSを用いて,蛍光指紋から劣化指標値への回帰モデルを作成した結果,蛍光指紋からなたね油の複数の劣化指標値が同時に推定でき,本法の油脂の品質評価への有用性が示唆された.
【方法】油脂のモデル試料として,食品業界で汎用的に使用される「なたね油」を使用し,①20℃~60℃の範囲で暗所にて8週間の保存試験,②20℃で,LED,蛍光灯照射下(約1000 lx),又は暗所にて8週間の保存試験,③180℃,40時間の加熱試験を行った.試験①~③において経時的に採取した試料の劣化指標値(酸価,過酸化物価,カルボニル価,極性化合物)の分析と蛍光指紋の測定を行った.得られた蛍光指紋から,部分的最小二乗法(PLS)による各劣化指標値の推定を行った.
【結果】未処理のなたね油の蛍光指紋では,領域1(Ex 300 nm/Em 330 nm 付近)及び 領域2(Ex 300~400 nm/Em 350~550 nm 付近)の2つの領域に蛍光ピークが確認された.保存試験試料(①,②)では,保存期間が長くなるにつれ,これらの領域の蛍光強度が減少した.一方,加熱試験試料(③)では加熱時間が長くなるにつれ,領域1の蛍光強度が減少し,領域2は蛍光強度が減少する領域と増加する領域が確認された.これらのことから,(1)蛍光指紋が油脂の劣化を反映しており,(2)蛍光指紋のパターン変化の違いが油脂の劣化のメカニズムの違いを反映することが示唆された.また,PLSを用いて,蛍光指紋から劣化指標値への回帰モデルを作成した結果,蛍光指紋からなたね油の複数の劣化指標値が同時に推定でき,本法の油脂の品質評価への有用性が示唆された.