日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

A 食品成分,食品分析(Food Ingredients, Food Analysis)

[3Da] 感性評価,官能評価

2024年8月31日(土) 09:00 〜 11:30 D会場 (3F N324)

座長:舩津 保浩(酪農学園大学)、早川 文代(農業・食品産業技術総合研究機構)、稲熊 隆博(女子栄養大学)

09:00 〜 09:15

[3Da-01] 運動時間の経過に伴う味やにおい感受性の変化

*村田 百1、松田 莉奈2、野尻 健介3、坂手 誠治1,2、空閑 佐智子4、上 英俊5、成川 真隆2 (1. 京女大・院・家政、2. 京女大・食、3. 長谷川香料(株)、4. 京都外大、5. 京都市立芸大)

キーワード:有酸素運動、味感受性、におい感受性、自転車エルゴメーター

【目的】運動中適切なパフォーマンスを維持するためには、効率的な栄養補給が必須となる。味やにおいは食物を摂取する上で鍵となる感覚であり、効率的な栄養補給を実施するためには、味やにおい感受性が運動によりどのように変化するかを知ることは重要となる。しかし、運動が味やにおい感受性に及ぼす影響については不明な点が多い。本研究では、自転車エルゴメーターを用いた有酸素運動を実施し、運動時間の経過に伴い味やにおい感受性がどのように変化するのかを調査した。
【方法】被験者は健康な成人女性20名を対象とした(21.6 ± 0.2歳)。50分間の自転車エルゴメーター運動と10分間の味・におい試験からなる60分間のテストセッションを4回繰り返した。運動強度は心拍数予備能60%に設定した。味サンプルとして、様々な濃度の市販スポーツドリンクを提示し、その味強度・嗜好度・におい強度を評価させた。においサンプルとして4種の食品香気成分を用い、その嗜好度を回答させた。コントロール測定として、運動開始前にも味・におい試験を実施した。また、味・におい試験時に自覚疲労度も回答させた。
【結果】自転車エルゴメーター運動を繰り返すことで、自覚疲労度が上昇した。運動セッション数に応じて高濃度のスポーツドリンクから感じる味強度と嗜好度が増し、試験前に比べ最終セッションで有意な高値を示した。一方、スポーツドリンクから感じたにおい強度に有意な影響は観察されなかった。においサンプルに対する嗜好度についても運動の繰り返しによる有意な影響は認められなかった。これらの結果は運動が長時間に及ぶことで味感受性が変化する可能性を示唆する。また、味感受性に比べ、におい感受性は運動による影響を受けにくい可能性が考えられた。