2:30 PM - 2:45 PM
[3Dp-02] Effect of taurocholic acid on active ion transport and water secretion of the epithelial cell in ileum.
Keywords:Active ion transport, Primary bile acids, Ileum, Enteroid, Ussing-chamber-Short circuit technique
【目的】脂質の吸収や代謝に重要である胆汁酸は,回腸末端においてNa+に依存した二次性能動輸送により吸収され,門脈を経て肝臓に戻る.一次胆汁酸であるタウロコール酸(TCA)は小腸での陰イオン分泌を促進して下痢を誘発すると報告されているが,大腸における二次胆汁酸は分泌を抑制する報告もあり,その作用機序には不明点が多い.本研究では,実験動物の小腸上皮組織における能動的イオン輸送と水分泌に及ぼすTCAの影響とその作用機序の解明を試みた.
【方法】Wistarラット(♂,7-9週齢)から摘出し平滑筋を剥離した回腸上皮組織をUssing-chamberに装着し,短絡電流法にて能動的イオン輸送量を測定した.TCAを管腔側または血液側へ添加して短絡電流値に及ぼす影響を検討した.実験は,1)TCA用量反応(0.1-10 mM)および2)Na+およびCl-置換実験を実施した.上皮細胞の血液側への直接作用を検討するために,C57BL/6Jマウス(♂,8週齢)から摘出した小腸の初代エンテロイドを供試した.3)増殖培地から5 mM TCAを含む刺激培地へ交換し,エンテロイドの膨張率(能動輸送が誘導する水分泌による膨張)をImage-Jによる画像解析(エンテロイド面積)にて解析した.
【結果】1)管腔側へのTCA刺激は用量依存的にIsc増加量を増大させた.また,2 分以内の早い反応と10 分程度の遅い反応の二相性が観察された.しかし,血液側へのTCA添加では遅い反応のみが観察された.2)無Na+条件下でのTCA刺激では2 分以内早い反応が消失し,無Cl-条件下では遅い反応が消失した.3)エンテロイドへの血液側TCA刺激は,3 分以降にエンテロイドを有意に膨張させた.これらの結果より,管腔側のTCAはNa+と共役して急速に吸収され,血液側から上皮細胞に作用して能動的Cl-分泌および水分泌を促進することが示された.
【方法】Wistarラット(♂,7-9週齢)から摘出し平滑筋を剥離した回腸上皮組織をUssing-chamberに装着し,短絡電流法にて能動的イオン輸送量を測定した.TCAを管腔側または血液側へ添加して短絡電流値に及ぼす影響を検討した.実験は,1)TCA用量反応(0.1-10 mM)および2)Na+およびCl-置換実験を実施した.上皮細胞の血液側への直接作用を検討するために,C57BL/6Jマウス(♂,8週齢)から摘出した小腸の初代エンテロイドを供試した.3)増殖培地から5 mM TCAを含む刺激培地へ交換し,エンテロイドの膨張率(能動輸送が誘導する水分泌による膨張)をImage-Jによる画像解析(エンテロイド面積)にて解析した.
【結果】1)管腔側へのTCA刺激は用量依存的にIsc増加量を増大させた.また,2 分以内の早い反応と10 分程度の遅い反応の二相性が観察された.しかし,血液側へのTCA添加では遅い反応のみが観察された.2)無Na+条件下でのTCA刺激では2 分以内早い反応が消失し,無Cl-条件下では遅い反応が消失した.3)エンテロイドへの血液側TCA刺激は,3 分以降にエンテロイドを有意に膨張させた.これらの結果より,管腔側のTCAはNa+と共役して急速に吸収され,血液側から上皮細胞に作用して能動的Cl-分泌および水分泌を促進することが示された.