The 71th Annual Meeting of JSFST

Presentation information

Oral presentation

B 食品機能 (Food Function)

[3Dp] Digestion, Absorption

Sat. Aug 31, 2024 2:15 PM - 4:45 PM Room D (3F N324)

Chair:Isao Kobayashi

3:15 PM - 3:30 PM

[3Dp-05] Effect of bread type on in vitro gastric digestibility using human Gastric Digestio Simulator

*Isao Kobayashi1, Motomi Shibasaki2, Tatsuro Maeda3, Takayoshi Tanaka4, Hiroyuki Kozu1, Ritsuna Noguchi3, Tetsuya Araki4 (1. Institute of Food Research, NARO, 2. Jumonji University, 3. Teikyo Heisei University, 4. The University of Tokyo)

Keywords:Gastric digestion, Bread, Gastric digestion simulator, Peristalsis, Direct observation

【目的】国民・健康栄養調査におけるパンの摂取量増加が示され,米飯に加えてパンも日本人の主食として定着したことが示唆されている.昨今では,パンの種類は多岐にわたっており,パンの構造や食感が口腔内消化に大いに影響することが知られている.しかし,パンの種類が胃内消化に及ぼす影響に関する知見は少ない.本研究では,ヒト胃消化シミュレーター(以下,GDS)を用いて,パンの種類が胃内消化性に及ぼす影響を検討した.
【方法】本研究で用いたパンは,食パン,クロワッサン,ベーグル,フランスパン,およびドイツパンである.一口大に切ったパン(60 g)をカッターミキサーで7秒間破断したパン試料を供試した.パン試料に人工唾液(15 mL, pH 7)を添加した後,90秒間混合して人工食塊を作製した.人工食塊および人工胃液(240 mL, pH 1.3)をGDS容器に投入した後,胃内消化試験(37 ℃)を180分間行った.GDS容器の側壁に発生するぜん動運動の進行速度と周期は,それぞれ2.5 mm/秒と1.5 cycles/分に設定した.胃内消化試験の終了後,胃消化物を3段篩(目開き:2.0, 0.60, 0.10 mm)を用いて分級し,各画分の湿潤重量を測定した.
【結果および考察】パン試料を含む人工食塊のin vitro胃内消化を観察した結果,緻密な構造を持つ食パン,ベーグル,およびドイツパン,ならびに多層構造のクロワッサンの場合は,大半の粒子がぜん動運動に誘起されて段階的に微細化した.油脂含量が多いクロワッサンにおいては,胃内容物上部に油脂層の形成が認められた.一方,粗な構造を持つフランスパンの場合では,粗大粒子層と微小粒子層の形成ならびに人工胃液の浸透による粒子の顕著な膨潤が観察された.以上より,パンの種類に起因する構造および組成の違いがin vitro胃内消化性に影響を及ぼすことが示された.