日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

B 食品機能 (Food Function)

[3Dp] 消化、吸収

2024年8月31日(土) 14:15 〜 16:45 D会場 (3F N324)

座長:小酒井 貴晴(山形大学)、福永 健治(関西大学)、小林 功(農業・食品産業技術総合研究機構)

16:30 〜 16:45

[3Dp-09] スケトウダラ由来難消化性タンパク質が腸内旧Lactobacillus属菌の増殖に及ぼす影響

*志禮 亮太1、田渕 莉奈1、中村 めい2、山崎 思乃2、細見 亮太1、福永 健治1 (1. 関大・院・食品栄養化学研究室、2. 関大・院・生物化学工学研究室)

キーワード:魚肉タンパク質、腸内細菌叢、Ligilactobacillus murinus

【目的】演者らは,スケトウダラ由来タンパク質(FP)の給餌が,カゼイン(CAS)と比較して腸内旧Lactobacillus属(LB)の構成比率を増加させることを複数系統のマウスにおいて確認している.しかし,FP給餌によるLB構成比率の増加機序は明らかではない.そこで本研究では,難消化性タンパク質(RP)に着目し,主要な食事性タンパク質のRPを調製し,その性状を評価した.さらにRPのLBに対する影響をin vivoおよびin vitro試験で評価した. 【方法】(1) RP調製:タンパク質源はFP,赤身魚,牛,豚,鶏,鶏卵白,CAS,乳清,小麦,大豆,米を用いた.人工消化後の透析残渣をRPとし,その割合,アミノ酸組成を測定した.(2) in vivo試験:タンパク質源をCASとするAIN93G餌料(CAS群),AIN93G餌料にCAS由来RPおよびFP由来RPを2%置換した餌料(CRP群,FRP群)を調製し,4週齢雄C57BL/6Jマウスに28日間給餌した.その後,腸内細菌叢を評価する目的で盲腸内容物からDNAを抽出し,メタ16S解析に供した.(3) in vitro試験:マウスの主な腸内LBであるLigilactobacillus murinusを,各RPを唯一窒素源とした培地で6時間培養後,生菌数を計測した. 【結果】(1)RP生成率は動物性タンパク質で10~15%,植物性タンパク質で20~30%だった.RPのアミノ酸組成は消化前の組成と同様の傾向を示した.(2)FRP群はLBの構成比率がCAS群と比較して有意に高値を示し,CRP群と比較しても高い傾向にあった(p = 0.07).(3)小麦,乳清RPは他のRPと比較して生菌数が若干少なかったが,各RP間でL. murinusの増殖に大きな差異はなかった.以上より,FP給餌によるマウス腸内LBの増加にRPが影響している可能性がある.