日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

B 食品機能 (Food Function)

[3Ea] 血糖調節、認知機能

2024年8月31日(土) 09:00 〜 11:30 E会場 (3F N307)

座長:杉山 健二郎(工学院大学)、二宮 和美(群馬大学)、村田 翔太朗(ニップン)

10:15 〜 10:30

[3Ea-05] 米糠摂取による高脂肪食負荷マウス脳内アミロイドβ蓄積の抑制

*市川 日奈子1、原 崇2、城 斗志夫2 (1. 新潟大・院・自然科学、2. 新潟大・農)

キーワード:米糠、高脂肪食、アミロイドβ、ヘムオキシゲナーゼ1、グリア細胞線維性酸性タンパク質

【目的】肥満や糖尿病などの生活習慣病は,アルツハイマー型認知症(AD)発症の危険因子であることが示されている.アミロイドβ(Aβ)は, ADの原因物質でないかと疑われている.Aβは老人斑の主な構成成分であり,酸化ストレスを惹起するなど,神経毒性を示す.本研究では,米糠の摂取が高脂肪食負荷マウスの脳内Aβ蓄積とNrf2酸化ストレス応答系に及ぼす影響について検討した.
【方法】C57BL/6Jマウス(♂,46週齢)に脂肪分60%カロリー比高脂肪飼料 HFD-60(HFD)を自由摂取させ,高脂肪食を負荷した.コシヒカリ米糠(0.5 g/day/mouse)は,HFDへ添加して給餌し(HFD+RB群),市販の繁殖用飼料を給餌したコントロール群とHFD群と共に12週間飼育した.AβおよびNrf2酸化ストレス応答系に関連する因子は,脳組織ライセ―トをサンプルとし,ウェスタンブロット法により検出した.
【結果】HFD群とHFD+RB群は,コントロール群より有意に体重が増加して肥満状態となり,米糠による肥満抑制効果はみられなかった.HFD群の脳組織では,コントロール群より有意にAβ重合体の増加が確認された.一方,HFD+RB群マウスの脳組織では,HFD群より有意にAβ重合体が減少していた.Aβと同時に生成するsAPPβやC99などのアミロイド前駆体タンパク質断片も,HFD群ではコントロール群より増加し,HFD+RB群ではHFD群より減少していた.また,HFD群ではコントロール群と比較し,酸化ストレスマーカー4-HNEと神経炎症関連マーカーGFAPの増大, Ser40リン酸化Nrf2と抗酸化酵素HO-1ならびにNQO1の減少,さらに神経発達マーカーPSD-95の減少が認められた.これらのHFD群における増減は,HFD+RB群では有意に緩和,回復されていた.