10:45 〜 11:00
[3Ha-07] 北海道産在来豆の食品化学的特徴の解析 ―食物繊維および難消化性デンプンと物性との関係―
キーワード:在来豆、食物繊維、難消化性デンプン、物性
【目的】 在来豆とは,古来より自生する在来の豆類や地域農家により伝承されてきた豆のことを言う.品種改良され,系統が管理されている栽培種の豆類とは異なり,系統が多様であり色や形,大きさなどの形質がばらばらである.在来豆は生産量にばらつきがあり,食品化学的知見が少ないため,あまり用途がない.本研究では,北海道産在来豆の食品化学的特徴を解明するために,食物繊維および難消化性デンプンと物性との関係を検討した.【方法】 北海道産在来豆20種の炊き時間,炊いた豆の物性,食物繊維含量,難消化性デンプン含量を測定した.【結果】 豆の炊き時間は赤えんどう豆,大福豆,福白金時豆が30分,十勝産小豆,黒千石豆,赤えんどう豆,大福豆と福白金時豆以外のインゲンマメ属が45分,網走産小豆,大豆が60分,黒大豆が75分,青大豆が90分であった.物性測定では,硬さは紫花豆,粘りと付着性は白花豆,もろさでは赤えんどう,ガム性は青大豆,弾力性は大豆,凝集性は黒千石豆の数値が最も高かった.総食物繊維は赤えんどう豆の5.4%,ペクチンは青大豆の3.3%,セルロースは金時豆0.7%,ヘミセルロースは紅絞り豆2.6%がそれぞれ高い値を示した.また,ダイズ属は不溶性食物繊維の含有量が少ないことが分かった.デンプン含量では,難消化性デンプンは紅絞り豆34.6%,通常デンプンは大納言小豆の38.5%,総デンプンは大納言小豆の46.7%が最も高い値を示した.また,ダイズ属はデンプン含量が少なく難消化性デンプンは1%未満で通常デンプンは3%程度であった.これらの数値を主成分分析したところ,98%までの情報が第2主成分までに集約された.硬さとガム性がグルーピングに影響を与えている主要な因子であることがわかった.一方,食物繊維と難消化性デンプンは主要因子にはなっていないが,正確にグルーピングするための因子であることが明らかになった.