日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

C 農畜水産物とその加工品 (Agricultural product, Livestock product, Seafood, and their processed products)

[3Ia] 畜産物、乳製品

2024年8月31日(土) 09:00 〜 11:30 I会場 (3F N302)

座長:大沼 正人(北海道大学)、谷本 守正(東京聖栄大学)、荒谷 陽介(北海道立食品加工研究センター)

10:15 〜 10:30

[3Ia-06] 熟成温度が異なるゴーダチーズの香気成分解析

*荒谷 陽介1、川上 誠1 (1. 地方独立行政法人北海道立総合研究機構食品加工研究センター)

キーワード:チーズ、ゴーダチーズ、香気成分、オフフレーバー

【目的】
 チーズの熟成には酵素や微生物の働きが関与しており,これを制御する因子として,熟成温度はチーズの品質を左右する重要な条件である.熟成温度を高く保つことは,熟成を促進させるのと同時に,劣化要因である苦味やオフフレーバーの発生をもたらす可能性がある.本研究では,ゴーダチーズ熟成に伴い生成される香気成分をグループ分けし,オフフレーバー成分を明らかにした.
【方法】
 ゴーダチーズは常法に従い製造,予備乾燥後にフィルム包装し,10~25℃にて6ヶ月間熟成を行った.香気成分は,細断したチーズ片をバイアル瓶に封入し,SPME法にて捕集,GC/MSにより測定した.内部標準にはシクロヘキサノールを使用した.総遊離アミノ酸は,粉砕した試料の水溶性画分を除タンパクし,フィルター濾過清浄後に高速アミノ酸分析計を用いて測定した.
【内容】
 ゴーダチーズの熟成中に生成する香気成分を①発酵臭グループ(酢酸,アセトインなど),②短鎖脂肪酸グループ,③加熱臭グループ(ケトン,アルデヒド),④ランシッドグループ(プロピオン酸,酪酸,吉草酸)の4つに分類した.
 発酵臭グループは熟成温度,熟成期間にかかわらずほぼ一律に検出され,短鎖脂肪酸グループは総遊離アミノ酸の生成と同様に熟成温度,熟成期間に依拠して増加が認められた.
 加熱臭グループは熟成温度25℃において,ランシッドグループは20℃以上において顕著に検出され,通常より高い熟成温度(20,25℃)で加熱臭グループの2-ヘプタノン,2-ノナノンやランシッドグループのプロピオン酸,酪酸,吉草酸がオフフレーバーの原因となることが明らかとなった.