[3Ka] Processing, Manufacturing technology

[3Ka-07] Research on centrifugal separators aimed at suppressing the melting of ice particles in slurry ice.

*Taisei Fujioka¹, Yasunori Matsumoto² (1. Graduate School of Engineering , Kochi University of Technology , 2. Kochi University of Technology )

Keywords: freeze concentration, centrifuge, vacuum

【目的】
凍結濃縮法とは，水溶液を冷却し溶媒である水を氷に相変化させ，氷と濃縮液を分離することで濃縮を行う方法であり，液状食品の機能性向上などに用いられている．研究グループの凍結濃縮システムでは，遠心分離機を採用している．既存の遠心分離機は，伝熱工学や熱力学を考慮した構造がほとんど見られない．そのため，対象としているスラリーアイスにて，分離を行った際に氷粒子が融解し，濃縮時間が長時間化してしまう課題がある．本研究では，真空操作による空気の熱伝達率低減に着目し，遠心分離機内部を構築することで，氷粒子融解量の抑制に効果があると考え，実験的に検証した．
【方法】
スラリーアイス生成装置を用いてNaCl水溶液から，濃度1.2以上のスラリーアイスを生成した．そして，雰囲気温度と湿度が一定に保たれた低温恒温槽内では，真空容器内に分離機構を配置し，生成したスラリーアイスを投入した．次に真空ポンプを用いて真空容器内を目標の真空度に到達させ，自然沈降により濃縮液のみ容器下部に落下させた．本実験では，大気圧から約-20kPa毎のゲージ圧で60分間実験を行った．また，実験前後，そして氷粒子が全て融解した後の水溶液から屈折率を計測し，スラリーアイスの氷粒子の融解率を求めた．
【結果】
融解率は大気圧のとき19%となった．ゲージ圧が低くなるにつれて融解率は減少し，-60kPaで15%となった．-60kPa 以降，融解率は上昇し，-80kPaでは27%，-96kPaで45%となった．このことから，スラリーアイスの氷粒子の融解抑制に最も効果的なゲージ圧は-60kPaであることを見出すことができた．真空による空気の熱伝達率低減から，ゲージ圧の減少に伴い，融解率も減少するはずだが-60kPa 以降で，融解率は上昇した．これは，他に物理的要因が働いた影響であるため明らかにしていく必要がある．