1:10 PM - 2:00 PM
[3N10-10-01] Process Suitability of Cereal Grains in Hokkaido
Keywords:Wheat flour, Sensory analysis, Textural parameters
【講演者の紹介】
竹内薫(たけうちかおる)
略歴:2016年 帯広畜産大学大学院畜産学研究科食品科学専攻修士課程修了,同年より現職。主に小麦の品質評価手法の開発,小麦育成系統の品質検定試験,穀類加工食品のテクスチャー研究に従事。
研究分野:食品科学,調理科学
研究内容:食品素材の成分特性,調理加工方法の特性,感覚や嗜好性の個人差を考慮した品質評価
1.農業試験場における小麦の品質評価
北海道は国産小麦の6割以上を生産する最大の産地であり,ブレンド用の超強力小麦から菓子用小麦まで加工適性の異なる複数の小麦品種が作付されている。多様な用途に対応するため,小麦の品種開発を担う試験研究機関では標準的な手法だけでなく北海道独自の手法による品質評価も行われている。品質評価部門では,少量・多検体を処理できる客観的で簡便な手法を確立してきた。これらの手法は品種開発のみならず,小麦の栽培研究や食品開発,他の穀類粉にも適用できる場合があるため紹介する。
吸水率は小麦粉の加工適性として重要視される項目の一つである。吸水率が高いとパン製造において加水量を増やすことができ,コスト低減やしっとり感に繋がるため,超強力小麦「ゆめちから」の後継品種やパン用の春まき小麦品種の開発では吸水率による選抜が行われている。ファリノグラフを用いた吸水率の測定方法は標準化されているが,少量の小麦粉試料しか供試できない育成系統では測定が難しい。そこで,少量の粉で測定できるマイクロドウラボを用いた手法を検討し,その実用性を示した。
中華麺適性は色と食感の官能評価により判断され,製麺後の変色が少なく,茹でのびしにくい粉が望ましい。そこで,中華麺の色と食感の良さについて,分光測色計とテクスチャー測定機器を用いた評価手法が開発された。
また,スポンジケーキ適性評価では膨らみ(比容積)と「口どけ」の良さが特に重視されているが,「口どけ」を客観的に評価するためには,スポンジケーキにおける「口どけ」とはどのような特性であるかを分解して整理する必要があった。製粉業者らによる官能評価結果から「口どけ」を複数の要素に分解し,これらの官能評価に対応する機器測定法を検討したところ,2バイトテクスチャー試験(TPA)や口どけ食感解析試験で得られる特性値がケーキの「口どけ」評価に有効であった。
2.北海道産穀類粉の特性評価
北海道は大豆,小豆,そばなどの小麦以外の穀類の主産地でもある。小豆については道総研の食品加工研究センターがパン・ケーキなどに適した2段階製粉による小豆全粒粉を開発した。また,とうもろこし子実を粉砕したコーングリッツはほぼ全量が輸入品だが,そらち南農協と道総研の共同研究により加工適性の優れる品種選定や製粉ラインの構築を行い,初の国産コーングリッツが開発された。
小麦以外の穀類粉を製菓・製パンに使用する際には小麦粉と組み合わせて用いることが多いが,新たに開発された穀類粉を初めて使用する際には調理加工特性が推測できないため,用途や適当な配合割合を決定することが難しい。そこで,超強力小麦粉,強力小麦粉,薄力小麦粉と各種の穀類粉を配合したブレンド粉について加工適性を推測するため,生地物性評価(吸水性と熱糊化特性)を行った。また,生地物性評価の結果を参考に,製パン性や嗜好性の改善方法を含む穀類粉の利用技術を開発した。
竹内薫(たけうちかおる)
略歴:2016年 帯広畜産大学大学院畜産学研究科食品科学専攻修士課程修了,同年より現職。主に小麦の品質評価手法の開発,小麦育成系統の品質検定試験,穀類加工食品のテクスチャー研究に従事。
研究分野:食品科学,調理科学
研究内容:食品素材の成分特性,調理加工方法の特性,感覚や嗜好性の個人差を考慮した品質評価
1.農業試験場における小麦の品質評価
北海道は国産小麦の6割以上を生産する最大の産地であり,ブレンド用の超強力小麦から菓子用小麦まで加工適性の異なる複数の小麦品種が作付されている。多様な用途に対応するため,小麦の品種開発を担う試験研究機関では標準的な手法だけでなく北海道独自の手法による品質評価も行われている。品質評価部門では,少量・多検体を処理できる客観的で簡便な手法を確立してきた。これらの手法は品種開発のみならず,小麦の栽培研究や食品開発,他の穀類粉にも適用できる場合があるため紹介する。
吸水率は小麦粉の加工適性として重要視される項目の一つである。吸水率が高いとパン製造において加水量を増やすことができ,コスト低減やしっとり感に繋がるため,超強力小麦「ゆめちから」の後継品種やパン用の春まき小麦品種の開発では吸水率による選抜が行われている。ファリノグラフを用いた吸水率の測定方法は標準化されているが,少量の小麦粉試料しか供試できない育成系統では測定が難しい。そこで,少量の粉で測定できるマイクロドウラボを用いた手法を検討し,その実用性を示した。
中華麺適性は色と食感の官能評価により判断され,製麺後の変色が少なく,茹でのびしにくい粉が望ましい。そこで,中華麺の色と食感の良さについて,分光測色計とテクスチャー測定機器を用いた評価手法が開発された。
また,スポンジケーキ適性評価では膨らみ(比容積)と「口どけ」の良さが特に重視されているが,「口どけ」を客観的に評価するためには,スポンジケーキにおける「口どけ」とはどのような特性であるかを分解して整理する必要があった。製粉業者らによる官能評価結果から「口どけ」を複数の要素に分解し,これらの官能評価に対応する機器測定法を検討したところ,2バイトテクスチャー試験(TPA)や口どけ食感解析試験で得られる特性値がケーキの「口どけ」評価に有効であった。
2.北海道産穀類粉の特性評価
北海道は大豆,小豆,そばなどの小麦以外の穀類の主産地でもある。小豆については道総研の食品加工研究センターがパン・ケーキなどに適した2段階製粉による小豆全粒粉を開発した。また,とうもろこし子実を粉砕したコーングリッツはほぼ全量が輸入品だが,そらち南農協と道総研の共同研究により加工適性の優れる品種選定や製粉ラインの構築を行い,初の国産コーングリッツが開発された。
小麦以外の穀類粉を製菓・製パンに使用する際には小麦粉と組み合わせて用いることが多いが,新たに開発された穀類粉を初めて使用する際には調理加工特性が推測できないため,用途や適当な配合割合を決定することが難しい。そこで,超強力小麦粉,強力小麦粉,薄力小麦粉と各種の穀類粉を配合したブレンド粉について加工適性を推測するため,生地物性評価(吸水性と熱糊化特性)を行った。また,生地物性評価の結果を参考に,製パン性や嗜好性の改善方法を含む穀類粉の利用技術を開発した。