日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

シンポジウム

シンポジウムB

[SB4] シンポジウムB4

2024年8月30日(金) 09:00 〜 11:45 B(S3)会場 (3F N322)

世話人:下山田 真(静岡県立大学)、中野 祥吾(静岡県立大学)

10:55 〜 11:30

[SB4-04] 食品企業における開発・製造プロセスの脱属人化

*生井 信章1 (1. キユーピー株式会社 デジタル推進室 デジタル推進部(兼)研究開発本部 加工・包装研究部)

キーワード:DX、AI、myドレッシング診断、連続計測技術

    【講演者の紹介】
    生井 信章(なまい のぶあき):略歴:2015年 キユーピー株式会社 研究開発本部 入社, 2023年 デジタル推進室 デジタル推進部 (兼)研究開発本部

    私たちキユーピーグループは,マヨネーズを代表としたドレッシング類だけでなく,サラダ・総菜・ジャムなどのフルーツ加工品も提供しています.内食から外食まで様々な販路はありますが,最終的にはお客様一人一人へ提供される商品を取り扱っており,商品企画・研究開発・製造・営業などバリューチェーンを構成する各機能において,どんな時においてもお客様のニーズを中心に据えて,日々活動しております.
    例えば,アレルギー反応を示されるお客様に対しては,卵を一切使用せずに卵の風味を感じられる「HOBOTAMA」シリーズ1)や,主要なアレルゲンである「オボムコイド」を含まない鶏卵の開発2)に取り組んでいます.

    こういった活動のほか,この数年注力している取り組みの1つに,お客様のニーズを的確につかみタイムリーに付加価値のある商品をお届けするための新規デジタル技術の活用があります.いくつかの事例をご紹介しますが,実際の取組の1つとして「myドレッシング診断」3)によるニーズの可視化についてご紹介します.お客様の嗜好性を解析し,求められているドレッシングを提案するモデルを構築し,「myドレッシング診断」というコンテンツをリリースした事例について紹介いたします.
    次に,食品製造では安心・安全を担保するために客観的な科学的指標(微生物,pH,食塩濃度)を活用していますが,検査対象のすべてを連続的に計測可能なリアルタイムによる全量保証体制の実現を目指しています.今回は,非ニュートン流体の物性を連続的に計測する手法の構築に向けた取組について発表します.
    そのほかにも,鶏卵内部の卵白タンパク質を非破壊で連続的にリアルタイム計測する技術開発の構築や,実機テストの最小化,装置レイアウトや製造フローを最適化するために,流動計算を行うCFDや,製造フローシミュレーションを利用しています.

このように新規デジタル技術の活用により属人的な要素を排して的確にお客様ニーズをつかみ,またこれまでは実現が困難だった高いレベルでの安全・安心をお客様にお届けできる可能性を見出しました.本日は,その一例をご紹介致します.

    1) https://www.kewpie.co.jp/prouse/recommend/hobotama/
    2) https://www.kewpie.com/newsrelease/2023/3091/
    3) https://www.kewpie.co.jp/dressing/dressingshindan/site/
    4) https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202003014504865821
    5) http://www.jsmf.gr.jp/mfsymp2023/doc/program.html