第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

ポスター

心大血管-MRA

心大血管-MRA2

2014年9月18日(木) 15:06 〜 15:48 ポスター会場 (3F 栄華の間)

座長:田渕隆(八重洲クリニック)

[P-1-031] 2D画像におけるMPRの可能性 ~特に靭帯の描出について~

辻英雄, 釘宮慎次郎, 香月伸介, 川崎久充, 金子景子, 清田綾, 三浦悠輔 (福岡整形外科病院 放射線科)

【背景・目的】
当院の前十字靭帯の評価は走行に合わせてsagittal像で行っている。しかし、二重束再建術後ではAM(前内側繊維束)とPL(後外側繊維束)に角度差があるため両方同時に描出することは難しく、主にAMに合わせて撮像している。今回、AMに合わせた2D画像からMPR(任意多断面再構成)像を作成することでPLを評価ができないか検討を行った。
【方法】
方法1.自作櫛ファントムに対して収集角度を3度ずつ変えて撮像し、櫛に合わせてMPR像を作成して物理評価をした。評価にはImage Jを使用した
方法2.二重束再建術後の患者様(25名)の画像から、AMとPLの角度差を算出した。またAMに合わせた2D画像からPLのMPR像を作成し、元画像を基準に整形外科専門医2名より10膝のMPR像を5段階評価で視覚評価した。
【使用機器・シーケンス】
MRI装置はGE社製1.5T Signa HDx、撮像シーケンスは2D-PDWIを使用した。
【結果】
結果1.櫛に対して収集角度が小さいほど櫛の分離は明瞭だったが、収集角度が18 度より大きくなると分離が難しくなった。また収集角度が変わることで櫛の信号強度が変化した。
結果2.AMとPLの角度差は 最大16.9度、最小2.9度、平均9.54度であった。視覚評価ではMPR像は元画像と比べ同等もしくは良くなった。両観察者で評価が最も良かったのはAMとPLの角度差が1番大きい例であった。
【考察】
考察1.櫛に対して収集角度が小さければ櫛の分離はできていた。よってAMとPLの角度差が18度以下の場合、MPR像でPLを評価することができると考えられる。またMPR像での信号の変化は、パーシャルボリュームが影響したと考えられる。
考察2.視覚評価ではMPR像は元画像と比べ同等もしくは良くなったため、走行の違う靭帯を把握できると考えられる。またAMとPLの角度差が1番大きい例で評価が良かったため、角度差が大きい場合は有用だがMPR像では信号が変化することに注意が必要である。本来PLに合わせて撮像した方が良いが、MPR像でも補助的に評価することができると考えられる。
【結語】
AMに合わせた2D画像からPLに合わせてMPRを作成することで、PLを補助的に評価できることが示唆された。