第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

ポスター

脳・脊髄-診断

脳・脊髄-診断2

2014年9月19日(金) 14:00 〜 14:42 ポスター会場 (5F ロビー)

座長:北島美香(熊本大学医学部附属病院 画像診断・治療科)

[P-2-129] Gd造影flow saturation preparation付加3D-T1WI ― CUBEとFSPGRの比較

高野浩一1, 中牟田隆司2, 三好光晴3, 桑原康雄1, 吉満研吾1 (1.福岡大学医学部 放射線医学教室, 2.福岡大学病院 放射線部, 3.GEヘルスケアジャパン)

【目的】近年,flow saturation preparation(FSP)法を用いたblack blood頭蓋内イメージングの有用性が報告されているが,FSE系とFSPGR系撮像法を比較した報告は乏しい.FSPを付加したGd造影CUBE法とFSPGR法の画質につき比較検討した.
【方法】撮像機器;GE社製Discovery MR750w,3T.静止PVAゲルファントムおよび正常ボランティア4名でFSP付加CUBE,FSPGRを撮像し,FSPの有無やVENC(2,5cm/s)が画質に及ぼす影響を検討した.さらに正常ボランティア1名でGd造影後のFSP-CUBEおよびFSP-FSPGRを比較した.FSPGRでは脂肪抑制の種類(SpSpとSPECIAL)についても検討した.
【結果】ファントム実験において,FSP付加によりCUBE, FSPGRともにSNRは低下,均一性も低下する傾向を示した.CUBEとSPECIAL-FSPGRではVENC低下に伴いSNRが若干低下したが,SpSP-FSPGRではVENCによる差は乏しかった.GdとPVAのコントラストはCUBEで最大,SpSp-FSPGRで最小であり,VENCのコントラストへの影響は比較的小さいと考えられた.またSpSp-FSPGRはSPECIAL-FSPGRよりSNが高いが,磁化率アーチファクトが強く見られた.ボランティア実験において,非造影CUBEでは血管内腔の抑制は概ね良好で,特にVENC=2では皮質静脈も概ね無信号となった.一方,FSPGRではCUBEと比較して血管内信号が残存する傾向があった.動脈系末梢の抑制はSpSp-FSPGRの方がSPECIAL-FSPGRより良好であった.またFSPGRではCSFと脳実質のコントラストがやや不良であった.Gd造影後,CUBEでは動脈内腔の信号はほぼ抑制され,皮質静脈も大半は抑制されたが,海綿静脈洞などの流速の低い静脈には強い増強効果が見られた.一方FSPGRでは動脈系の大半と静脈系の一部に信号/増強効果が見られた.
【結論】動脈壁増強効果の評価には,FSPGRよりもCUBEが適していると思われる.一方,非造影での血管壁評価や,血管系以外の病変の増強効果における優劣については更なる検討を要する.