第42回日本磁気共鳴医学会大会

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ポスター

胆・膵臓-機能評価

胆・膵臓-機能評価

2014年9月20日(土) 10:12 〜 10:54 ポスター会場 (3F 栄華の間)

座長:西江昭弘(九州大学大学院医学研究院 臨床放射線科学教室)

[P-3-204] 経口造影剤ボースデル服用後のMRCPの経時的変化:2DMRCPと3DMRCPの比較

丸上永晃1, 武輪恵2, 高濱潤子3, 丸上亜希3, 岡田博司3, 吉川公彦3 (1.奈良県立医科大学 中央内視鏡・超音波部, 2.平成記念病院 放射線科, 3.奈良県立医科大学 放射線科)

【目的】マンガンを主成分とする経口造影剤ボースデルは、一部が小腸より吸収され胆汁に排泄されることにより、経時的に2DMRCPの信号が低下し、服用30分後でも画質劣化が生じることを以前我々は報告した。今回は、ボースデル服用後に2DMRCPと3DMRCPを撮影し、経時的信号変化に差が生じるかを検討した。
【対象と方法】:本研究は倫理委員会により承認済。対象は正常ボランティア10名。Philips社製3T MR装置を用いて、2D/3DMRCPをボースデル1袋服用直後、30、60、120、180分後に撮影し、総胆管内の信号雑音比を測定した。さらに胆道(2次分枝、1次分枝、総胆管)の描出能を視覚的に4段階評価(1:全く描出されない、2:一部のみが描出、3:一部を除き概ね描出、4:全域良好に描出)し、それぞれ服用直後を基準とした経時的変化を統計学的に比較検討した。
【結果】総胆管の信号雑音比の経時的変化は、服用直後(2D/3DMRCP:1/1)、30分(0.80/0.87)、60分(0.43/0.47)、120分(0.14/0.18)、180分(0.10/0.08)。2DMRCP、3DMRCP両者とも30分以降で有意な(p< 0.05)信号低下を生じた。一方、各時相・各胆道における視覚的評価の平均値は、服用直後(2D/3DMRCP; 2次分枝:4/4、1次分枝:4/4、総胆管:4/4)、30分後(2.75/3.9、3.35/3.9、3.6/3.95)、60分後(1.9/2.4、2.15/2.8、2.4/2.9)、120分後(1.0/1.3、1.2/1.45、1.2/1.6)、180分後(1.0/1.1、1.15/1.4、1.15/1.4)。2DMRCPでは服用30分以降より有意な視覚的信号低下が生じたが、3DMRCPでは服用60分以降より有意な視覚的信号低下が生じた。
【結語】経口造影剤ボースデル服用後MRCPでは服用30分後より信号低下が生じる。ただし、3DMRCPでは服用30分後でも視覚的な信号低下は認めないが、2DMRCPではその影響は強く現れ、撮像タイミングに留意する必要がある。