日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育方法(奇数演題) ポスター発表

2022年9月2日(金) 10:00 〜 11:00 第一体育館バスケ2 (第一体育館バスケ)

[09方-ポ-17] 体操競技のゆか種目における後方伸身宙返り4回ひねり(Shirai/Nguyen)獲得に必要となる技術的要因

*白井 健三1、平野 智也2、畠田 好章1、船渡 和男2 (1. 日本体育大学体育学部、2. 国士舘大学大学院スポーツ・システム研究科)

【背景】後方伸身宙返り4回ひねり(以下4回ひねり)現在F難度と高難度に認定されているが、ひねり不足や姿勢減点等への懸念から実施する選手が極めて少ない現状がある。 【目的】4回ひねりを構成するロンダード後の踏切動作に着目して、身体重心に関する並進運動と身体重心まわりの角運動量等のバイオメカニクス要因から技術的要因について検討した。 【方法】大学体操競技部に所属する男子選手3名が本研究に参加した。被験者の内訳は競技会において4回ひねりを成功している世界トップレベルの被験者A、練習において4回ひねりを成功している被験者B、4回ひねり実施経験を有していない被験者Cであった。試技内容は被験者Aのみ4回ひねり、被験者Bと被験者Cは3回ひねりを行なった。20台のVICONカメラを用いて身体に貼付した反射マーカーの3次元座標データを300fpsで収集し、身体重心速度および全身と身体各セグメントの角運動量を算出した。 【結果および考察】空中局面において、4回ひねりを実施した被験者Aの最大重心高は2.3mに達した。踏切局面に着目すると、被験者Aは身体重心水平速度の減少と鉛直速度の増加が最も大きかったことから、直前の技である後転とびにおいて大きな水平速度を鉛直速度に変換していることが示された。さらに被験者Aの鉛直軸まわりの全身角運動量は被験者BとCと比較して踏切0.1秒前に急激に減少していた。これは、被験者Aが踏切局面において身体の鉛直軸まわりの回転を制限しながら踏切を行なっているためであると考えられた。したがって、指導現場では4回ひねりの成功のために踏切前の動作に着目して指導を行うことが重要であるといえる。