ポストコロナ新時代の非鉄金属製錬研究への期待と展望

[1K0603-12-02] ガスジェット浮遊技術を用いたCu₂S融体の熱物性測定

○安達 正芳¹、後藤 宏樹¹、大塚 誠¹、渡邉 匡人²、高橋 純一³、福山 博之¹ (1. 東北大学、2. 学習院大学、3. 住友金属鉱山株式会社)

司会：打越雅仁（東北大学）

キーワード：無容器測定法

銅製錬の熔錬工程において，銅鉱石は主にCu₂S-FeS系のマット融体とFeO-SiO₂系のスラグ融体に沈降分離される．この工程において，微細なマット融体がスラグ中に懸垂し残留することで生じるマットの収率低下がいわゆる銅ロスとして長年の課題となっている．スラグ中には熔錬工程で発生するSO₂ガスが存在する．このガスにマットが付着する場合，マットとスラグの表・界面張力により，スラグ中に懸垂するマットの形態が支配される．また，ガスと付着していないマットの沈降速度はマットの密度およびスラグの密度と粘性に支配される．このように，マット融体の沈降現象の理解のためにはマット及びスラグ融体の熱物性値が不可欠である．しかしながら，既報のマットおよびスラグ融体の熱物性値にはばらつきが存在し，信頼性の高いマットの沈降現象の予測には至っていない．そこで筆者らは，非接触法を用いたマット融体およびスラグ融体の熱物性値の高精度測定を目的とし，マットを構成するCu₂S融体の熱物性値の測定に着手した．本講演では，ガスジェット浮遊技術を用いたCu₂S融体の表面張力および粘性の測定について報告する．