日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム1)

2024年3月29日(金) 11:30 〜 12:30 桜(学生) (桜)

[PS01-03] マルムネアリヤドリ属(甲虫目:ハネカクシ科)の分類学的再検討と地理的分布

◯野崎 翼1、丸山 宗利2 (1. 九大院・生資環・昆虫、2. 九大博)

マルムネアリヤドリ属Aspidobactrus Sharp, 1888は、ケアリ属Lasius Fabricius, 1804を寄主アリとする好蟻性ハネカクシの一属であり、日本のみから4種が知られている。本属各種は、それぞれケアリ属の1種のみが寄主アリとして記録されており、寄主アリ範囲が狭いスペシャリストであると考えられる。本属の記録は日本列島のなかでも、本州、四国、九州に限られており、これらの地域あるいは近隣の地域において種分化が起こったことが予想される。この過程を詳細に検討するための第一歩として、日本各地で収集したサンプルおよび提供標本を用いて、形態にもとづき種分類の再検討を行った。その結果、未記載種を2種、既知種4種の計6種を認識した。このうち、ハヤシケアリを寄主アリとする4種は、演者による近年の系統学的研究により、互いにきわめて近縁であることが示唆されている。これら4種の地理的分布を再検討したところ、検討された限りでは地理的分布が重複していないことが明らかになった。以上のことから、これら4種では地理的隔離により異所的種分化が起こった可能性が高いと推測された。本発表では、その分布の詳細とともに、異所的種分化が生じた要因に関する仮説を提示する。