[PS02-27] 沖縄産ハラビロカマキリの卵休眠の有無と幼虫期間
ハラビロカマキリは冬の間、卵休眠することが知られている。しかし、沖縄本島に棲息する本種は、4~5月に羽化する個体群(夏型)と9~10月に羽化する個体群(秋型)が年一化で独立して存在するという仮説がある。この仮説を検証するために冬季に幼虫と卵包を採集して、それぞれ夏型及び秋型として解析した。夏型の成虫を短日条件(L:D=12:12)、長日条件(L:D=15:9)でそれぞれ飼育し、産下された卵包を平均25℃で保温した。その結果、親の経験した日長に関係なく、卵は約40日で一斉孵化した。このことから、夏型は常に不卵休眠を産むと考えられた。秋型の卵休眠を現在検証している。次に夏型の幼虫期間の長さを調べた。その結果、短日下では平均142日、長日下では平均140日要した。これは、既知の他種カマキリの幼虫期間と比べて極めて長い。また、種内の地理的変異を調べるために、温帯の個体(千葉県)および亜熱帯の個体(喜界島)で終齢期間の長さを比較した。その結果、短日条件で千葉系統は平均26日、喜界島系統は平均23日要した。一方、夏型は平均44日であった。このことから、本種の発育速度には地理的変異が認められ、夏型が年二化性となることは難しいと考えられた。現在、秋型について解析している。