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[G1-O-2] 地震性混濁流の発生を決めるもの:地震動による表層堆積物再懸濁と堆積物強度強化
キーワード:地震、タービダイト、表層堆積物再懸濁、堆積物強度強化、地震動
地震性タービダイトを用いた地震履歴の検討においては、ある斜面において、ある大きさ以上の地震動が発生するたびに、混濁流が発生し、その記録が斜面下部の堆積盆に残されることが必要となる。海底地すべりは地震性混濁流の発生の一つのきっかけとなるが、地震動による表層堆積物の再懸濁・再移動もその発生機構の一つと考えられるようになってきた。しかし、ある堆積盆のタービダイトがどのような地震あるいは地震動の記録であるかは、必ずしも明らかになっているとは言えない。三陸沖の下部陸側斜面の平坦面であるmid-slope terraceでは地震性タービダイトの累重が報告されているが、そのタービダイトを形成した地震動は、三陸北部沖では0.6G以上(Ikehara et al., 2023)、三陸中部沖では0.4–0.5G以上(Usami et al., 2019)とされ、地理的な違いがあるように見える。三陸北部沖と中部沖では、地震の発生パターンに違いがあり、北部沖ではM 8クラスの地震が100年程度の間隔で発生するのに対して、中部沖ではM >8の地震がより長い間隔で発生している。地震動による水平的な剪断歪による粘着力の増加は、表層堆積物の強度を高めると考えられ、seismic strengtheningと呼ばれている(Sawyer and DeVore, 2015)。三陸北部沖と中部沖におけるタービダイトを形成する地震動の閾値の違いは、地震の発生パターンの違いに起因した表層堆積物の強度の違いを反映している可能性がある。しかし、斜面域堆積物の物性や堆積速度に関する情報は十分でなく、さらなる検討が必要である。
文献:Ikehara et al. (2023) Prog. Earth Planet. Sci., 10, 8, doi:10.1186/s40645-023-00540-8; Sawyer and DeVore (2015) Geophys. Res. Lett., 42, 10216–10221, doi:10.1002/2015GL066603; Usami et al. (2018) Geosci. Lett., 5, 11, doi:10.1186/s40562-018-0110-2.
文献:Ikehara et al. (2023) Prog. Earth Planet. Sci., 10, 8, doi:10.1186/s40645-023-00540-8; Sawyer and DeVore (2015) Geophys. Res. Lett., 42, 10216–10221, doi:10.1002/2015GL066603; Usami et al. (2018) Geosci. Lett., 5, 11, doi:10.1186/s40562-018-0110-2.