日本心理学会第86回大会

実行委員長挨拶

 
 日本心理学会第86回大会の実行委員長を務める坂上貴之と申します。なかなか終わりの見えないコロナ禍の中で,多くの大会がおよそ2年以上に亘ってオンライン開催や中止に追い込まれました。日本心理学会の大会も,ここ2回の大会はオンライン開催となりました。また,開催場所となってきた多くの大学でも,対面での授業さえ出来にくい状況となり,開催場所を見つけることは至難の業となってきました。そしてそれと同時に,開催を担ってきた大学等の教育・研究機関も,大会の運営に携わる人員の確保が難しい状況となってきました。

 このような状況の中で,昨年,大会の開催を日本心理学会本体が担うことを決定し,理事長を含む3人の常務理事会メンバーを中心に新しい運営方法が論議され,学術大会委員会所属のメンバーを軸に総勢10人が第86回大会実行委員に就任することとなりました。

 今回の大会の大きなテーマは2つあります。1つは研究交流の再開と会員同士の再会です。そしてもう1つは持続可能な大会運営の模索です。これらを実現するために,対面での大会開催を基本とし,日本大学文理学部のご協力を得て開催地とし,講演会場やポスター発表会場を用意いたしました。また,いくつかの招待講演や学会主催シンポジウム,チュートリアル・ワークショップを対面で行う予定です。さらにささやかな研究者交流会も開きたいと考えております。しかし同時に密集状態を避けるために,一般公募のシンポジウムは対面とせずオンデマンド開催といたしました。一方オンライン開催とよく似た方法で,対面以外にもその内容の視聴が可能となるように,多くの催し物はハイブリッドでの開催を検討しております。

 持続可能な大会運営のために,オンラインシステム関連ならびに学会開催支援をしてくださる企業の方々にも入っていただき,実行委員,学会事務局の負担の軽減を図っております。また第86回大会以降の大会も視野に入れた,新しい試みも進行中です。ハイブリッドでの開催のほかに,例えば会場展示やウェブ展示を改善するために,いくつかの出版社にお願いして会員との円滑なコミュニケーションの在り方について意見交換を行いました。さらに,ここ2回,ポスター発表については負担の軽減のために抄録のみを発行していましたが,様々な手続き上の工夫を施すことで,長く続けられてきた1ページ2段組の論文集の発行に挑戦いたします。

 まだ手探りで進めている状態ですが,大会の成功には会員の方々のご支援が是非とも必要と考えます。多くの方々に大会に参加していただくと同時に,お一人お一人が,大会と直に触れあって,盛り上げていただければ嬉しく存じます。それでは9月,お会いいたしましょう。  

 

日本心理学会第86回大会実行委員会
実行委員長  坂上 貴之
(慶應義塾大学名誉教授・日本心理学会理事長)