日本畜産学会第131回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演

優秀発表Ⅰ

2023年9月19日(火) 09:00 〜 10:30 第II会場 (大講義室)

座長:青木 康浩(東京農工大学)、上田 宏一郎(北海道大学大学院農学研究院)、塚原 隆充(栄養・病理研)、舟場 正幸(京都大学)

10:00 〜 10:15

[IYS-19-05] 健常犬の糞便中から分離した乳酸菌Ligilactobacillus animalisの妊娠期間中の摂取は仔のアレルギー性接触皮膚炎症状を抑制する

*安田 伊武希1、金木 真央1、竹田 志郎1、内山 淳平2、福山 朋季1 (1. 麻布大獣医、2. 岡山大院医歯薬)

【背景および目的】近年、乳酸菌を代表とするプロバイオティクスの妊婦への投与が乳児のアレルギー発症率を低下させることが報告されている。本研究では、健常犬の糞便中から分離した乳酸菌Ligilactobacillus animalisの妊娠期間中の摂取が仔のアレルギー性接触皮膚炎症状に与える影響を調査した。 【方法】ICRマウスの妊娠母獣に妊娠9日から出産後20日までL. animalis生菌(1×109 CFU/mL)ないし陰性対照群としてL-グルタミン酸ナトリウム(50 mM)を毎日強制経口投与(0.5 mL/匹)した。離乳後の仔獣(雌4週齢)に2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)を反復経皮投与することでアレルギー性接触皮膚炎を誘起した。TDIの最終経皮惹起(耳介部)翌日に耳介厚を測定した後にマウスを安楽殺し、血清、耳介リンパ節、耳介組織を採材し、各種解析に供した。 【結果および考察】L. animalis生菌投与母獣の仔獣では、陰性対照仔獣と比較して、耳介リンパ節中の免疫細胞数(エフェクターT細胞、メモリーT細胞、IgE陽性B細胞、2型樹状細胞)の有意な減少、T細胞からのサイトカイン産生量(IL4、IL13、IL17、TNFα)に有意な減少が認められた。以上より、妊娠母獣へのL. animalis生菌の投与は、その仔獣の免疫機能を調節し、アレルギー性接触皮膚炎症状を抑制する可能性が示唆された。