4:30 PM - 4:45 PM
[2Dp-07] Evaluation of Bread as a Source of Sphingolipids
Keywords:sphingolipid, glucosylceramide, bread
【目的】植物における主要なスフィンゴ脂質成分であるグルコシルセラミド(GlcCer)は皮膚のバリア機能を高める効果が注目されている.一方で,機能性表示食品などに応用されている米などの植物食品素材と比べて小麦粉のGlcCer含有量は高いことが報告されており,効率的なスフィンゴ脂質供給源として期待される.小麦粉はパン製品や麺類などの加工食品として摂取される場合がほとんどであるが,小麦加工食品中でのスフィンゴ脂質含有量や組成については明らかになっていない.そこで本研究では,最も主要な小麦製品の一つであるパン製品に含まれるGlcCerの定量および定性分析を行い,日常的な食生活におけるスフィンゴ脂質供給源としてのパン製品の寄与を評価することを目的とした.
【方法】市販のパン製品を試料とした.それぞれを凍結乾燥後,粉砕して得られた乾燥粉末からFolch法により総脂質を抽出した.弱アルカリ処理とカラムクロマトグラフィーによってグリセロ脂質や脂肪酸を除去し,得られたGlcCer画分について蒸発散乱光検出器を備えたHPLCによる定量分析を行い,さらにLC-MS/MSに供することで分子種解析を行った.
【結果・考察】今回測定した試料のGlcCer含有量は,湿重量100 gあたり約5~11 mgであった.機能性表示食品などにおけるGlcCerの有効摂取量は一日当たり1.8 mgとされているものが多いが,今回の測定値から求めると市販のパン製品1個あるいは1枚あたり約2~5 mgのGlcCerが含まれていることが示された.また,小麦粉のGlcCer分子種組成と比較して,パン製品からはトリヒドロキシ型のフィトスフィンゴシン(t18:0)をスフィンゴイド塩基として含む分子種が多く検出されたことから,発酵や焼成による分子種の変化に興味がもたれた.本研究は(公財)飯島藤十郎記念食品科学振興財団の研究助成により行われた.
【方法】市販のパン製品を試料とした.それぞれを凍結乾燥後,粉砕して得られた乾燥粉末からFolch法により総脂質を抽出した.弱アルカリ処理とカラムクロマトグラフィーによってグリセロ脂質や脂肪酸を除去し,得られたGlcCer画分について蒸発散乱光検出器を備えたHPLCによる定量分析を行い,さらにLC-MS/MSに供することで分子種解析を行った.
【結果・考察】今回測定した試料のGlcCer含有量は,湿重量100 gあたり約5~11 mgであった.機能性表示食品などにおけるGlcCerの有効摂取量は一日当たり1.8 mgとされているものが多いが,今回の測定値から求めると市販のパン製品1個あるいは1枚あたり約2~5 mgのGlcCerが含まれていることが示された.また,小麦粉のGlcCer分子種組成と比較して,パン製品からはトリヒドロキシ型のフィトスフィンゴシン(t18:0)をスフィンゴイド塩基として含む分子種が多く検出されたことから,発酵や焼成による分子種の変化に興味がもたれた.本研究は(公財)飯島藤十郎記念食品科学振興財団の研究助成により行われた.