[2Gp] 穀物

[2Gp-08] 「春よ恋」分画粉のブレンドによるパンの味質の変化

*宮地 舞^1,2、木村 友音²、宮田 志保²、西尾 直人²、西崎 陽介²、山田 大樹²、中村 正¹、高田 兼則¹ (1. 帯広畜産大・院、2. 敷島製パン(株))

キーワード：パン、分画粉、国産小麦

【目的】近年，消費者の国産小麦への要望の高まりから国産小麦を使用したパンの需要は増えている．国産小麦には品種ごとに特長的な味や風味があると言われている．その中でも「春よ恋」のパンは旨味があり，美味しいという消費者の声がある．先行研究において国産小麦のパンは官能評価および味覚センサー，成分分析によって品種間に味の違いがあることが確認されている．また，製粉の過程で生じる分画粉には灰分やタンパク質を多く含む画分があり，それらの間で風味も異なっている．そこで本研究では，「ゆめちから」と「きたほなみ」のブレンドに「春よ恋」の分画粉をブレンドすることによるパンの成分や味質の変化について分析を行った．
【方法】「春よ恋」100%，「ゆめちから」と「きたほなみ」の1:1ブレンド（以下「YK」と記す），「YK」の30%を「春よ恋」の分画粉2S，4Mで置換したサンプル（以下「2S30%」「4M30%」と記す）の4水準で中種法による製パン試験を行った．各パンクラムについて味覚センサー測定および各種糖類，遊離アミノ酸含量の測定を行った．官能評価は「YK」を標準とし，五味と後味について各味の強弱を評価した．
【結果】官能評価では「YK」と比較して，「春よ恋」の甘味，旨味，後味がやや高く評価されたのに対し，「2S30%」は甘味と旨味，「4M30%」は旨味と後味が有意に高く評価された．また，味覚センサー測定の結果，「2S30%」「4M30%」は旨味と旨味コクの値が大きい傾向にあった．全糖量は「春よ恋」と「YK」が同程度であり，「2S30%」「4M30%」は多い傾向があった．「春よ恋」や「YK」と比較して「4M30%」の総遊離アミノ酸含量は多い傾向がみられた．これらの結果から，「春よ恋」の分画粉2S，4Mの「YK」へのブレンドでは「春よ恋」と同等の味質は示さなかったが，「YK」の旨味を強めることが示唆された．