The 71th Annual Meeting of JSFST

Presentation information

Oral presentation

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[2Jp] Processing, Manufacturing technology

Fri. Aug 30, 2024 3:00 PM - 6:00 PM Room J (2F N207)

Chair:Noriyuki Igura, Akihiro Nakamura

3:15 PM - 3:30 PM

[2Jp-02] Effect of encapsulation yield on flavor release behavior from spray-dried powder

*Shisei TAKASHIGE1, Yoshiyuki WATANABE1 (1. Osaka Metropolitan University)

Keywords:spray drying, flavor

【目的】
 フレーバーは食品のおいしさに深く関係しており,食品製造において,高い安定性や使用時の簡便さから様々な粉末香料が用いられる.粉末香料の保蔵過程での徐放によるフレーバーの損失が問題視されるため,噴霧乾燥による粉末香料の作製においては,フレーバー包括率が重要であるとされているが,速度論的解析の導入によりその影響を検討された例は少ない.
 本研究では,噴霧乾燥粉末のフレーバー徐放挙動に及ぼす包括率の影響を明らかにすることを目的として,d-リモネンをモデルフレーバーとした噴霧乾燥粉末を作製した.そして,その徐放挙動を測定し,速度論的解析を実施した.
【方法】
 賦形剤としてデキストロース当量値が11のマルトデキストリン,乳化剤にカゼインナトリウム,さらにd-リモネンを用い,様々な割合で調合した後,撹拌および超音波乳化によりO/Wエマルションを作製した.エマルションを噴霧乾燥することで,種々の包括率を有する噴霧乾燥粉末を調製した.得られた粉末試料を60, 80および100℃で保存し,粉末のd-リモネン残留率を経時的に測定した.結果に,ワイブル式および徐放過程の活性化自由エネルギーの正規ガウス分布をもつ一次徐放速度式を適用し,徐放速度定数kを算出した.
【結果】
 エマルション調製時のフレーバー負荷率が,噴霧乾燥粉末のフレーバー包括率および残留率に影響を及ぼすことが明らかとなった.包括率が高い粉末ほど保存初期のフレーバー減少率が低く,包括されたフレーバーの安定性が高いことが示された.保存中の噴霧乾燥粉末のフレーバー徐放挙動は,ワイブル式と比較して,徐放過程の活性化自由エネルギーの正規ガウス分布をもつ一次徐放速度式でよく表すことができた.分散σは表面および包括フレーバーのk値の差異を反映しており,σ値によって,各保存温度による表面および包括フレーバーの安定性差を評価できる可能性が示唆された.