日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[2Jp] 加工、製造技術

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 J会場 (2F N207)

座長:井倉 則之(九州大学)、中村 彰宏(茨城大学)、高重 至成(大阪公立大学)

15:30 〜 15:45

[2Jp-03] コーヒーの水蒸気蒸留における凝縮温度が凝縮液の揮発性成分及び凝縮液を用いたミルクコーヒーの風味特性に及ぼす影響

*畠山 慎一郎1、秋山 正行1、山口 拓也1、吉原 大翔1、藤田 篤茂1、高橋 加奈1、丸屋 美樹1、粉川 美踏2、北村 豊2 (1. 森永乳業(株)、2. 筑波大、生命環境系)

キーワード:水蒸気蒸留、凝縮温度、ミルクコーヒー、gas chromatography-mass spectrometry (GC-MS)、check-all-that-apply(CATA)

【目的】水蒸気蒸留は,揮発性成分を効率的に抽出する方法として知られている.しかし,水蒸気蒸留における水蒸気の凝縮温度が凝縮液の品質に及ぼす影響についての研究報告はみられない.そこで本研究では,コーヒーの水蒸気蒸留における異なる凝縮温度が凝縮液の揮発性成分に及ぼす影響,及び異なる凝縮温度で得られた凝縮液がミルクコーヒーの風味特性に及ぼす影響を調査した.
【方法】焙煎度(L値)18.5のエチオピア産コーヒー粉砕末を充填した約10L容量のカラム型コーヒー抽出機に水蒸気を注入し,蒸留した.その際,冷却器の冷媒温度を5,50,90℃に設定することで,3種類の凝縮液を得た.各々の凝縮液のヘッドスペースからSPMEファイバーで揮発性成分を抽出し,GC-MSで分析した.また,異なる凝縮温度で採取した3種類の各々の凝縮液と水蒸気蒸留後のコーヒーから温水で抽出した液*を用いて作製したミルクコーヒー3種類,温水抽出液*のみを用いたミルクコーヒー,及び水蒸気蒸留をしていないコーヒーの温水抽出液で作製したミルクコーヒー,の計5種類を作製した.訓練されていない消費者パネル66名(男性35名;女性31名,24~47歳)で,check-all-that-apply法により官能特性を評価した.
【結果】GC-MS分析の結果,凝縮液の揮発性成分は,1)凝縮温度が低い程,成分量が減少する成分,2)凝縮温度が低い程,成分量が増加する成分,3)50℃で高い成分量を示す成分,4)凝縮温度によって成分量が変化しない成分,の4パターンに分類された.また,官能評価の結果では,凝縮温度が低い程、「たばこ」「土」「炭」「焦げ」等のコーヒーに特徴的な風味特性が強いと評価された.凝縮液を用いないとコーヒーの風味特性が比較的弱く,「ミルク」や「まろやか」等の風味特性が強いと評価された.