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[2Jp-08] 調製液体大豆乳における凝集体形成と大豆タンパク質の分子量との関係
キーワード:大豆、乳、乳児、調製大豆乳
【目的】乳児用の調製液状乳は調乳、加温不要で授乳できることから、災害時などの備蓄用としても需要が拡大している。一方で、牛乳アレルギーをもつ乳児用の液体ミルクは国内で製造・販売されていない。本研究では牛乳タンパク質・乳糖を含まず、大豆タンパク質を用いて調製された牛乳アレルギーを持つ乳児のための育児用粉乳である調製粉末大豆乳「ボンラクト®i」と同様の仕様でありながら、常温流通可能な調製液体大豆乳の開発を目的とした。【方法】「ボンラクト®i」と同様の組成となるようにでんぷん糖化物、植物油脂、大豆タンパク質、ビタミン、ミネラル等を投入し、ホモミクサーを用いて混合した後に均質機を用いて乳化した。これをレトルトパウチに充填し、オートクレーブで121℃、25分間殺菌して調製液体大豆乳を作製した。これを基本とし、大豆タンパク質は分子量6,000未満のペプチド画分の含有量が10~19質量%(A)、20~30質量%(B)、31~40質量%(C)を用いて比較検討した。評価は、作製した調製液体大豆乳を室温にて1ヵ月静置し、凝集体形成の度合いを目視による3段階評価、および溶液安定性評価装置による沈降速度評価にて実施した。【結果】大豆タンパク質は二価のカルシウムイオンやマグネシウムイオンと反応し凝集することが知られている。(A)及び(B)大豆タンパク質を用いた場合、目視にて凝集物は明らかに確認できる状態であり、分散安定性が不良となることを確認した。一方で、(C)大豆タンパク質を用いて調製液体大豆乳を作製した場合、目視にて凝集物はほとんど確認できない状態であり、分散安定性が良好となることがわかった。また、溶液安定性評価装置を用いて25℃で1時間、後方散乱光強度の変化率を測定したところ(C)大豆タンパク質の調製液体大豆乳における凝集物の沈降速度が最も遅く、安定していることを確認した。