日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

A 食品成分,食品分析(Food Ingredients, Food Analysis)

[3Ca] 食品分析

2024年8月31日(土) 09:00 〜 11:30 C会場 (3F N323 )

座長:小木曽 加奈(長野県立大学)、中津 沙弥香(広島県総合技術研究所)、近藤 徹弥(名古屋文理大学)

09:30 〜 09:45

[3Ca-03] HS-SPME-GC-TOFMSと機械学習を用いたハチミツの香気成分解析

渡邊 直美1、福留 隆夫1、窪田 梓1、*生方 正章1 (1. 日本電子株式会社)

キーワード:食品分析、香気成分分析、SPME-GC-TOFMS、機械学習、ソフトイオン化法

【目的】
ハチミツの色・風味は, 蜜源となった植物の花の種類に依存する. 天然物であるハチミツには, 未知の香気成分も含まれると予測される. 本発表ではハチミツの風味に影響を与える香気成分についてヘッドスペース-固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ-飛行時間質量分析法(HS-SPME-GC-TOFMS)にて測定し, 電子イオン化(EI)と電界イオン化(FI)による統合解析及び機械学習を用いた構造解析を実施した事例について紹介する.
【方法】
市販のハチミツ3種[百花蜜, アカシア蜜, ジャラ蜜]を試料に用いた. 試料前処理装置はHS-SPMEオートサンプラーHT2850T(HTA社製)を使用し, GC-MSは高分解能型GC-TOFMSであるJMS-T2000GC(日本電子製)を用いEI/FI法にて測定を行った. 得られた測定データに対しmsFineAnalysis AI(日本電子製)にて統合解析及び機械学習による構造解析とサンプル間の差異分析を実施した.
【結果】
百花蜜からはLinalool oxideが強く検出された. アカシア蜜からも検出されたが, その強度は百花蜜の1/10程度であった. ジャラ蜜からはAcetoinが強く検出されたが, Linalool oxideは検出されなかった. 採取する花により香気成分の種類や強度には大きな差があることが確認できた. 百花蜜とアカシア蜜, 百花蜜とジャラ蜜と差異分析を実施し, これらの結果を結合することで3種の比較を行った. 検出された38成分中4成分がNISTライブラリ未登録であったが, 機械学習を用いた構造解析により構造式を算出した. この中には比較的強度の強いピークもあり, 得られた定性情報はサンプルの特徴を把握する上で重要であった. HS-SPME-GC-TOFMSと機械学習による構造解析を用いることで, ハチミツの香気成分について容易に統合解析が実施できた.