日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

A 食品成分,食品分析(Food Ingredients, Food Analysis)

[3Cp] 食品分析

2024年8月31日(土) 14:15 〜 17:00 C会場 (3F N323 )

座長:仲川 清隆(東北大学)、松田 寛子(日本獣医生命科学大学)、間野 博信(あいち産業科学技術総合センター)

16:45 〜 17:00

[3Cp-11] 酢酸浸漬工程がロブスタ種コーヒー豆の化学的・物理的特性に及ぼす影響

*繁本 千優1、粉川 美踏2、北村 豊2 (1. 筑波大院・生物資源、2. 筑波大・生命環境)

キーワード:コーヒー、浸漬処理、含水率

【目的】世界に流通するコーヒーはアラビカ種とロブスタ種に大別され,アラビカ種が世界中の消費量の大部分を占めている。しかし,コーヒー飲料の消費拡大により,今後アラビカ種コーヒーの供給が需要に追いつかなくなる事態が想定される。ロブスタ種はアラビカ種よりも一般的に病害虫に強く,生産効率も高いが,風味が劣るとされている。そこで,加工によりロブスタ種コーヒー豆の化学的・物理的特性を改変し,アラビカ種に近い風味特性を示す生豆・焙煎豆を製造する方法が探索されている。先行研究では,ロブスタコーヒーの生豆を酢酸に浸漬することで,焙煎豆の風味がアラビカ種のコーヒーに近づくと報告されており,風味改変の理由として生豆のpH低下が焙煎中に起こる化学反応に影響を及ぼしていることが挙げられている。しかし,この研究では,生豆中の含水率が焙煎中の化学変化に与える影響について十分な検討がなされていない。以上の点を踏まえ,本研究では酢酸浸漬によるコーヒー生豆の風味向上を目指し,酢酸浸漬がコーヒー豆の含水率やカフェイン等の成分に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】浸漬処理にあたり,条件統一のため含水率を測定した。また、比較対象であるアラビカ種生豆と同等の含水率になる乾燥条件を検討するために,恒温乾燥機を用い,30分,1時間,2時間、3時間,3.5時間乾燥による含水率変化を算出した。また,浸漬後の含水率変化に関しても同様に計測した。浸漬条件は、酢酸濃度を四水準(0,1,2,3 %),浸漬時間を三水準(30分,1時間,2時間)に振り,カフェイン等をHPLCにより測定した。
【結果】浸漬条件(酢酸濃度、浸漬時間)によって,同程度の焙煎前含水率を実現するための乾燥時間が異なることが明らかになった。