日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

B 食品機能 (Food Function)

[3Ga] 抗腫瘍、抗炎症、抗アレルギー

2024年8月31日(土) 09:00 〜 11:30 G会場 (3F N305)

座長:米谷 俊(ファーマフーズ)、杉浦 義正(水産大学校)、高杉 美佳子(九州産業大学)

10:00 〜 10:15

[3Ga-05] 高齢者疾患を予防・改善する食品由来機能性成分の探索

*長澤 尚晟1、米澤 貴之2、禹 済泰3、渡辺 章夫1 (1. 十文字学園女子大・院・人間生活、2. 中部大・生機研、3. 中部大・院・応用生物)

キーワード:高齢者疾患、骨粗鬆症、リグナン

【目的】日本では高齢社会により骨粗鬆症や動脈硬化症,肥満などの高齢者疾患や慢性疾患が増加傾向にある.また健康寿命と平均寿命の差の隔たりが懸念されており,さらなるQOL向上が望まれる.クベバ(Piper cubeba)は亜熱帯地域に広く分布しているコショウの一種であり,主にリグナン類である Cubebin(Cub)やHinokinin(Hin),Yatein(Yat)が含まれている.本研究ではクベバ由来リグナン類に着目し,高齢者疾患や慢性疾患の予防・改善効果を検討することを目的とした.
【方法】本研究ではリグナン類の存在下で以下の検討を行った.骨粗鬆症における検討ではRAW264細胞を破骨細胞誘導因子であるRANKL存在下で培養を行い,破骨細胞分化への影響をTRAP活性で評価した.MC3T3-E1骨芽細胞にて分化初期のマーカー酵素であるALP活性を測定することで骨芽細胞分化への影響を評価した.炎症を惹起したRAW264細胞にてNO産生量を測定することで抗炎症効果を評価した.
【結果】破骨細胞でCub,Hin,YatはTRAP活性を低下させ,多核成熟破骨細胞数を減少させた.骨芽細胞においてCub,HinはALP活性が上昇させた.炎症を惹起したRAW264細胞において,Cub,Hin,YatでNO産生を抑制する傾向が確認された.これらのことからクベバ由来リグナン類は骨代謝を調整し,抗炎症作用を有する可能性が示唆された.今後は骨粗鬆症モデルマウスや動脈硬化症における血管内皮細胞や泡沫化細胞に着目し,より詳細な検討を進めていく予定である.