The 71th Annual Meeting of JSFST

Presentation information

Oral presentation

C 農畜水産物とその加工品 (Agricultural product, Livestock product, Seafood, and their processed products)

[3Gp] Bean, Potato

Sat. Aug 31, 2024 2:15 PM - 4:30 PM Room G (3F N305)

Chair:Yuji Honda

3:00 PM - 3:15 PM

[3Gp-04] Manufacturing technology for red bean paste with excellent color tone

*Mika Kawahara1 (1. Tokachi Foundation)

Keywords:azuki, red bean paste, color

【目的】小豆の主な用途は製餡用であるが、良い原料を用いて職人が丁寧に加工した餡は紫がかった色になると言われており、従来高級な餡の指標とされてきた。近年、名古屋大学で小豆に含まれる色素の構造と特性が解明されており1)、本研究では、その知見をもとに新たに小豆に含有する紫色色素を活かした生餡の製法を確立することを目的とした。小豆に含まれる紫色色素は水に難溶で酸化されやすい特徴があり、小豆を水浸漬後に脱気工程を加えることで色素の酸化抑制を検討した。
【方法】北海道産小豆を原料として製餡試験を行った。小豆を水浸漬し、浸漬液を捨て、新たな水を加えた。密閉可能な加熱調理器に入れ、真空処理(−90kPa程度)、真空解除を繰り返した。その後、90℃、60分で加熱し、煮熟した煮豆を得た。煮豆をストレーナー(約1.5mm孔)に通して皮を除去し、さらにふるい(250µm孔径)に通して、水さらしを繰り返し、脱水して生餡を得た。生餡の色調は色差計を用い、水懸濁した後の沈殿を測定した。餡の紫色の強さは、L*a*b*表色系でb*の数値が低い方向と一致しており、生餡の紫色の目標とする範囲はb*値:2.0以下、糖度50%以上の加糖餡ではb*値:1.0以下とした。
【結果】本研究で開発した製法2)および既存の製法(直炊き、開放系釜で煮沸)で調製した生餡の色調を比較したところ、開発した製法では紫色を特徴とする餡が得られた。さらに約20kgの小豆を用いてプラントテストを行い、餡の色調に再現性があることを確認した。また、加糖練り上げ工程を真空ニーダーで行うことにより、紫色の色調が活かされた加糖餡を製造することが可能であった。
1)吉田ら、日本農芸化学会2022年度大会要旨集,4F04-06
2)吉田久美、川原美香:「小豆餡の製造方法」,特開2022-41424