日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[3Ja] 加工、製造技術

2024年8月31日(土) 09:00 〜 11:30 J会場 (2F N207)

座長:下山田 真(静岡県立大学)、辻井 良政(東京農業大学)、梅田 拓洋(農業・食品産業技術総合研究機構)

09:15 〜 09:30

[3Ja-02] 味噌の製造工程における抗酸化活性の変化

*菅野 友美1、髙木 悠希1、西村 方希1、白井 愛梨1、浅井 紀之2、西村 篤寿2 (1. 愛知淑徳大学、2. イチビキ株式会社)

キーワード:味噌、製造工程、抗酸化活性

【目的】味噌は日本古来の発酵食品であり,日本人の食生活に欠かせない調味料である.近年は抗酸化作用など生理機能を示すことが明らかとなっている.味噌の抗酸化活性に関する研究は数多く報告されているが,味噌の製造工程が抗酸化活性に与える影響についての報告は少ない.そこで本研究では,豆味噌と米味噌の原料から製品までの製造工程による抗酸化活性の変化を明らかにすることを目的とし,味噌の製造工程および配合の異なる味噌製品について,親水性活性酸素吸収能力(H-ORAC)を測定するとともに,色調,褐色度およびpHとの関連についても検討した.【方法】試料は,豆味噌製造工程9種(原料豆,蒸大豆,出麹,仕込み直後,熟成1ヵ月,2ヵ月,3ヵ月,4ヵ月,最終),米味噌製造工程7種(原料米,蒸米,米糀,蒸豆,仕込み直後,熟成0.5ヵ月,1.0ヵ月),味噌製品7種(豆味噌,低塩豆味噌,八丁豆味噌,米味噌7歩,米味噌10歩,低塩米味噌,西京米味噌)で,イチビキ株式会社から提供されたものを用いた.これらを凍結乾燥粉末後,ヘキサン:ジクロロメタン(1:1)溶液による抽出に引き続き,メタノール:水:酢酸(90:9.5:0.5)による抽出を行った.抗酸化活性評価は,標準物質としてTroloxを用い,H-ORAC値を測定した.また,色調,褐色度およびpHを計測した.【結果】味噌製品間のH-ORAC値では,八丁豆味噌が最も高く,米味噌10歩が最も低かった.味噌製造工程間のH-ORAC値では,熟成が進むほど高い値を示した.味噌製品のH-ORAC値と褐色度との間に有意な正の相関を示し,豆味噌製造工程のH-ORAC値とpHとの間に有意な負の相関を示した.また,いずれの試料のH-ORAC値とL値との間に有意な正の相関がみられたことから,味噌の抗酸化活性の簡易評価の指標としてL値を活用できる可能性が示唆された.