[3Ka] Processing, Manufacturing technology

[3Ka-06] Effect of Surface Roughness of Heat Transfer Surface of Ice Making Section on Freeze Concentration of Low Concentration Aqueous Solution

*Yuma Hirabayashi¹, Yasunori Matsumoto² (1. Graduate School of Engineering, Kochi University of Technology, 2. Kochi University of Technology)

Keywords:Freeze Concentration, Slurry Ice, Ice Making

【目的】凍結濃縮法は，水溶液中の水を氷として析出させ，氷を液相から分離することにより濃縮を行う方法である．加熱蒸発法や膜分離法と比して，より低温下での操作となるため，熱変性成分が含有する水溶液の濃縮に適している．研究グループでは伝熱面に成長させた氷膜を掻き取り刃で切削し，微細な氷粒子を生成する方式の凍結濃縮装置製氷部の開発を行っている．本製氷部では水溶液が低濃度になるにしたがい高硬度化する氷膜により，掻き取り負荷が大きくなってしまうことが知られている．本研究では，塩分濃度0.8wt%以下の低濃度のNaCl水溶液にて高効率な製氷が行える方法を検討するため，伝熱面に形成される氷膜形状に関係する伝熱面表面粗さの影響を調べることとした．実験では製氷の速度を表す製氷能力と氷膜の掻き取りに必要なエネルギーである掻き取り動力を計測し，製氷部性能を評価した．
【方法】液状食品に含有する成分の一つであるNaClの水溶液を用いた製氷実験を行った．実験サンプルは塩分濃度0.5，0.6，0.8，1.0，1.5，2.0wt%の水溶液を用いた．製氷部の伝熱面については，表面粗さRa0.2，Ra3.2，Ra12.5を製作し実験を行った．製氷部は2重円筒構造で内円筒外側に冷却液を送液し，内側に氷膜を成長させる構造である．
【結果】塩分濃度0.8～2.0wt%では伝熱面表面粗さによる製氷能力，掻き取り動力に差異は小さく，本濃度範囲では製氷部性能に影響を及ぼさないといえる．塩分濃度0.5，0.6wt%においては先の濃度領域と比較して，低い製氷能力かつ高い掻き取り動力となったため，製氷部性能が低くなった．伝熱面表面粗さについてはRa3.2が3条件の表面粗さの中で，最も高い製氷能力かつ最も低い掻き取り動力となった．そのため，低濃度NaCl水溶液の濃縮においては伝熱面Ra3.2の製氷部が高い製氷部性能を有するといえる．